[『月刊住職』 2019年9月号より転載]
民衆宗教論 宗教的主体化とは何か 東京大学出版会 6800円
1970年代から80年代、金光教や大本教など民衆宗教について活発に論議された。近代において宗教的主体化が行われた過程と社会的役割を論じる。島薗進・安丸良夫・磯前順一著。
岐路に立つ仏教寺院 相澤秀生・川又俊則編 法藏館 3000円
伝統仏教では日本最大教団である曹洞宗の全寺院を対象に、定期的に行われる曹洞宗宗勢総合調査。その2015年版を中心に、お寺を取り巻く実態と、住職寺族の状況を浮き彫りにする。
『法華経』のはなし 渡邊寶陽著 佼成出版社 1600円
和歌や文学にも影響を与えた『法華経』。その成り立ちと味わいを立正大学元学長が教義用語と共に、分かりやすく解説。「平等の教えを開き示す」。
維摩経 植木雅俊訳・解説 KADOKAWA 1160円
在家の維摩居士が釈尊の弟子と対論しながら空の思想や在家仏教の真価を明らかにする『維摩経』は聖徳太子の時代から親しまれてきた。サンスクリット版全訳かつ現代語訳化。文庫判。
瞑想力 大下大圓著 日本評論社 1600円
医療と宗教の橋渡しをスピリチュアルケアの中に模索してきた飛騨の高野山真言宗千光寺住職が、心と魂を健康にするための臨床瞑想法を指南する。
仏教入門 南直哉著 講談社 820円
第17回小林秀雄賞を受賞した文筆家であり、恐山菩提寺院代でもある福井県の曹洞宗住職が思想編と実践編の二部構成で仏教の教えに迫る。新書判。
荘子と遊ぶ 禅的思考の源流へ 玄侑宗久著 筑摩書房 820円
万物斉同を唱え、後に禅の成立に大きな影響を与えた中国の思想家で道教の始祖の一人と伝えられる荘子。臨済宗妙心寺派住職が、その思想を読む。
道ひとすじに 春秋賛著 北國新聞社 1000円
著者は石川県白山市の真宗大谷派仙龍寺住職。大刹の下寺に生まれ、金沢別院教化部長など要職に就く一方、不治の難病を患う妻を介護する、その念仏に生きる日々を綴った自伝的法話集。
死者の民主主義 畑中章宏著 トランスビュー 2100円
儀礼の縮小化や簡略化が進み、見えない世界を感じる力が衰えている現代に、古今の死者との向き合い方を民俗学視点から読み解く論考。「祖霊の政治参加を促す」「さまよう妖怪」他。
みんな、忙しすぎませんかね? しんどい時は仏教で考える。 釈徹宗/笑い飯・哲夫著 大和書房 1500円
仕事は楽しいか? 自殺は許されるのか? 浄土真宗本願寺派住職と、仏教好きの人気お笑い芸人がワンテーマごとの往復書簡で仏教的思考を綴る。
日本人にとって聖地とは何か 東京書籍 1800円
僧侶や研究者など五人(内田樹、釈徹宗、茂木健一郎、高島幸次、植島啓司)による聖地巡礼フェスティバルの再現。「聖地につながる起源問題」他。
鬼とはなにか 戸矢学著 河出書房新社 1850円
節分会、地獄絵図など日本の信仰文化には鬼が登場する。怨霊や鎮魂など日本人の精神史と鬼の関係を多角的な視点から考察。「鬼門という信仰」他。
山の神々 坂本大三郎著 エイアンドエフ 1700円
副題は「伝承と神話の道をたどる」。古より人々は自然の中に霊性を感じ取ってきた。山岳信仰の歴史とその文化の源流が読み解かれる。「海の山」他。
必勝!! 終活塾 高橋泰源著 双葉社 1300円
著者は一級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を持つ真言宗僧侶。「兄弟間で相続話は必要?」などの悩みに終活のプロとして答えるQ&A集。
スピリチュアルペイン 細田亮著 幻冬舎 800円
医療ではカバーしきれない終末期患者とその家族の魂の痛みに向き合うため、僧侶の臨床宗教師をクリニック職員として採用した医師の記録。新書判。
韓国立正佼成会の布教と受容 渡辺雅子著 東信堂 3700円
日本系の新宗教はいかに韓国で受容されているか。立正佼成会の韓国における展開過程とその受容の実態を綿密な聞き取り調査から描き出す研究論考。
眠れなくなるほど面白い図解仏教 渋谷申博著 日本文芸社 850円
お経を読む時なぜ木魚をたたくの? 怒った顔の仏像があるのはなぜ? 仏教やお寺にかかわる素朴な61の疑問に対し図解を交えて答える入門講座。
キャラ絵で学ぶ! 仏教図鑑 山折哲雄監修 すばる舎 1600円
「お釈迦様はどんな人?」「なんと、これも仏教語」など子供向けのお寺イベントにも活用できそうな、小学生も楽しく読めるキャラ絵入り仏教入門書。
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