[『月刊住職』 2020年4月号より転載]

『究竟一乗宝性論』と東アジア仏教 李子捷著 国書刊行会 13000円
如来蔵思想を組織的に説いた『究竟一乗宝性論』の漢訳とその影響を受けた文献に見る如来蔵・真如・種姓の概念を検討し、五~七世紀の東アジア仏教の如来蔵思想の受容と展開を解く。



釈摩訶衍論の新研究 早川道雄著 ノンブル社 25000円
『大乗起信論』の注釈書である『釈摩訶衍論』は空海も愛読したという。種智院大学教授が、釈論独特の発想的根源を先行文献との影響関係から考察して、その思想史的位置付けを図る。



空海と弘仁皇帝の時代 西本昌弘著 塙書房 11000円
詩文や書に長け、在位中は唐風文化も栄えた嵯峨天皇の時代を空海や最澄など仏教者の視点から考察した歴史研究書。 「嵯峨天皇の灌頂と空海」など。



中世仏教絵画の図像誌 山本聡美著 吉川弘文館 8500円
仏教を切り離して日本美術史は語れない。教説絵巻から、民衆教化に使われた地獄絵や六道絵、朽ちていく肉体をつぶさに観察した九相図など、中世日本における図像の成立と受容を考察。



アジア仏教美術論集 南アジア(1) 中央公論美術出版 5800円
全12巻刊行予定の第7回配本は、マウリヤ朝からグプタ朝期。東西文化との混交の中で大きく花開いた南アジアの仏教美術をめぐる論考。「仏伝の形成」他。宮治昭・福山泰子責任編集。



詳説日本仏教13宗派がわかる本 正木晃著 講談社 1600円
日本仏教の十三宗派(法相宗・華厳宗・律宗・天台宗・真言宗・融通念仏宗・浄土宗・浄土真宗・時宗・臨済宗・曹洞宗・黄檗宗・日蓮宗)の成り立ちと日本における受容過程を解説する。



日常の「イライラ」や「もやもや」を鎮めてくれるしんどい心の処方箋 小池陽人著 柏書房 1500円
著者は動画投稿サイトを通じた法話配信に取り組む真言宗須磨寺派大本山須磨寺の副住職。将来の不安や子育ての悩みなど様々な悩みに優しく答える。



身の回りには奇跡がいっぱい! 一日一禅 セルバ出版 1500円
著者は臨済宗妙心寺派布教師で、愛知県の泰岳寺の泰丘良玄副住職。心安らかに生きるための禅的思考を説く法話集。「転ぶことにも意味がある」他。



ふたたび出会う世界があるから 本多昭人著 本願寺出版社 1300円
著者は昨年遷化した浄土真宗本願寺派僧侶。がん再発の身を綴る命の法話集。「苦悩の中に届く希望とよび声」「不確実なものより確かな仏地」他。



仏教経済学 クレア・ブラウン著 勁草書房 2600円
持続可能な世界のための取り組みが必至な時代、繁栄の分かち合いという仏教経済学の目標が重要だと著者は説く。 「豊かな人と貧しい人の共栄」他。



日本思想史 末木文美士著 岩波書店 880円
古代から現代に至る日本思想の膨大な集積の中に「王権」と「神仏」の二極構造を見出し、その鳥瞰図を描く。「家父長制国家と神仏」他。新書判。



神龍の棲む火の山 岡倉捷郎著 新泉社 2600円
霊山における噴火をもたらす火の神と、その現れである神龍の信仰に着目し奥武蔵、伊豆山、日金山、富士山から東北への熊野修験の影響が探られる。


仏教における女性差別を考える 源淳子著 あけび書房 1500円
著者は浄土真宗本願寺派僧侶で仏教、ジェンダー研究者。親鸞と仏教界における女性差別を問うことで、日本人の女性差別観の根本を明らかにする。



宗教者と科学者のとっておき対話 かもがわ出版 1600円
臨済宗相国寺派の有馬賴底管長と、放射線防護学・平和学専門の安斎育郎・立命館大学名誉教授が原発事故、平和と憲法、科学と宗教の相関などを語る。



被災記憶と心の復興の宗教社会学 三木英著 明石書店 3500円
災害発生時と被災の記憶継承における宗教の役割を、国内外の事例から明らかにする。「現代中国における宗教の震災救援活動と記憶の継承」など。



本当は怖い仏教の話 沢辺有司著 彩図社 909円
衆生救済のため身投げした山伏、極楽浄土を目指して不帰の出航をした補陀落僧など仏教の過酷な一面に教義・修行法・歴史・風習の切り口から迫る。



真言・陀羅尼・梵字 その基礎と実践 大法輪閣 1800円
真言と陀羅尼、梵字について、基礎知識と実践法を初学者にも分かりやすく解き明かす。「石仏・石塔の梵字」「真言・陀羅尼を唱える際の心得」他。



全国天皇家ゆかりの神社・お寺めぐり 渋谷申博著 ジー・ビー 1600円
勅願寺や門跡寺院など、天皇家ゆかりの寺社は日本全国にある。古代から近代まで歴代天皇の事績と系譜を辿りながら、全国百十五の寺社を紹介する。





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