[『月刊住職』 2020年6月号より転載]

中国初期仏塔の研究 向井佑介著 臨川書店 8500円
仏舎利塔から五重塔へ。なぜ塔は高くなったのか。インド起源の仏塔が、中国、朝鮮半島を経て日本へと伝播した歴史を豊富な資料をもとに分析した研究書。「中国初期仏塔のすがた」他。



仏教とエクリチュール 下田正弘著 東京大学出版会 4400円
副題は「大乗経典の起源と形成」。口頭での伝承から、書写へとメディアの変化を通して大乗仏教が誕生した。西洋人文学における口頭伝承、聖典研究などと照合し新たな視点で仏教を考察。



戦後博覧会資料集成 第3巻 ゆまに書房 21000円
博覧会を通じて戦後の日本人が描いていた未来像を探る全15巻の資料集成第3巻は「宗教平和博会場案内」「全日本宗教平和博覧会誌」「新八重山」の資料を収める。福間良明監修・解説。



近現代日本仏教の歩み 仏教タイムス社 1500円
副題は「明治から平成まで150年を追跡」。鈴木大拙、石橋湛山、S・ジョブズなど時代を代表する仏教者の足跡と、社会のターニングポイントとなる災害や事件に宗教がどう向き合ったかを探る。



清沢満之全集 別巻1 大谷大学編 岩波書店 6600円
平成15年に完結した『清沢満之全集』後に発見された講義録、著述、書簡などが別巻2冊にまとめられた。別巻1には西洋哲学史の講義を収録する。



中国人が読み解く歎異抄 中国語訳付 チャン・シンフォン編 藤原書店 2800円
著者は野間宏の文学を通じて親鸞の思想に出会い、『教行信証』の中国語訳を手掛けた中国出身の学者。翻訳経験から『歎異抄』を新視点で読み解く。



なぜ人はカルトに惹かれるのか 瓜生崇著 法藏館 1600円
青春時代に浄土真宗親鸞会の入脱会経験を持ち、現在は学校などでカルト問題啓発活動を行う真宗大谷派住職が自らの活動を通じ人間存在と宗教を問う。「なぜ『正しさ』に依存するのか」他。



仏陀バンクの挑戦 伊勢祥延著・上 川泰憲監修 集広舎 2000円
バングラデシュの少数民族仏教徒を対象に仏教者たちがマイクロクレジット支援事業を行う「仏陀バンク」の活動記録。「良くも悪くも多様性」他。



遺恨と無念 別府空由著 奈良新聞社 2500円
人類の争いの営みが遺恨を生み、その結実たる現代の苦の救済の指南となるのが口称念仏である―。歴史と宗教の織りなす「真理」を独自の感性で説く奈良の浄土宗住職の新聞連載の単 行本化。



仏教の智慧が学べる日々のことば 枡野俊明著 河出書房新社 1100円
大丈夫、四苦八苦、自由、など仏教語由来の八十の言葉を、庭園デザイナーでもある横浜の曹洞宗建功寺住職が一語一語見開きで分かりやすく説く。



日本仏教の基本経典 大角修著 KADOKAWA 2000円
釈迦の伝記にまつわる経典から、お盆やお施餓鬼に読む身近な経典、さらに日本人に大きな影響を与えた29の重要経典を精選し、その基礎を紹介。



カラ・テペ テルメズの仏教遺跡 六一書房 4500円
四世紀頃の廃絶と推測されてきたウズベキスタンの仏教遺跡カラ・テペを、立正大学ウズベキスタン学術調査隊が発掘調査した成果がまとめられている。



アジアの公共宗教 櫻井義秀編著 北海道大学出版会 6200円
アジア発の公共宗教論の構築を目指し、近現代における各国の宗教運動や社会の位置づけを捉えた論考集。「中国の政教関係と『宗教の中国化』」他。



東ヒマラヤ 安藤和雄編著 京都大学学術出版会 6500円
グローバル化と一定の距離を取りながら独自の「文明」を築いてきたブータンはじめアジアの高地の豊かさの本質を調査した。「モンユルの仏教」他。



転換期のミャンマーを生きる 土佐桂子他編 風響社 5000円
軍人支配から民政移管へと激動のミャンマー社会における可能性を宗教やコミュニティに見られる公共性に探る。「説法会を核とする仏教公共性」他。



漢学と東アジア 江藤茂博編 戎光祥出版 3200円
漢学という学問を様々な視点から捉えるシリーズ「講座近代日本と漢学」の第8巻は宗教・儒教・ビジネス・学術文化の視点から考察。「儒葬の近代」他。



平泉の文化史1 平泉を掘る 菅野成寛監修 吉川弘文館 2600円
毛越寺に代表される平安時代の寺院庭園群、国見山廃寺跡などの発掘調査から中世平泉の社会が明らかに。全3巻の第1巻。「平泉の寺院庭園」他。



宗教に明日はあるか? 中央学術研究所編 佼成出版社 2000円
仏教・キリスト教・神道・イスラームのそれぞれの専門家が「宗教にとって人を殺してよい正義はあるか」などを語り合った8回分の座談会を収録。





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