[『月刊住職』 2020年10月号より転載]
近代の仏教思想と日本主義 石井公成監修 法藏館 6500円
戦争へと突き進む思想潮流の一つとなった「日本主義」に仏教者や知識人はいかに向き合い、仏教を再編したかを考察。「真宗本願寺派の教学と日本主義」「日蓮主義と日本主義」など。
宗教・教育・芸能・地域文化 朝倉書店 15000円
人々の生活の場の歴史的変遷を多様な視点から紐解く「郷土史大系」の第1回配本。宗教など日本人の精神文化に密接にかかわる分野が解説される。「伊勢参り」他。吉原健一郎他編。
現代社会の仏教 蓑輪顕量他著 臨川書店 2800円
シリーズ「実践仏教」第5巻。現代社会に息づく仏教を、瞑想の系譜を辿る「瞑想のダイナミズム」、ブータン王国の仏教と国民の幸福度の相関、現代医療と仏教のかかわり等から論じる。
東国の中世石塔 磯部淳一著 吉川弘文館 25000円
古い石塔には造立年代を示す様々な特徴がある。平泉文化が栄えた東北から関東甲信越・静岡にいたる千基以上の中世石塔を、40年かけて現地調査し各地域の特徴を明らかにした研究書。
朝鮮仏教史 鎌田茂雄著 講談社 1180円
4世紀後半、大陸から朝鮮半島に伝わったとされる仏教を高句麗・百済・新羅の王たちはいかに受け入れ、社会に影響を与えたか。東アジアでも特徴的な朝鮮仏教史を総覧。名著の文庫判。
女人禁制 一般社団法人和歌山人権研究所編 阿吽社 800円
今も日本に残る女人禁制の文化を高野山文書群「金剛峯寺日並記」に基づいて高野山真言宗の近代化のなかで位置づける。また大相撲の実態も論じる。
四国遍路の世界 筑摩書房 880円
八十八カ所成立から現代に至る歴史、海外との巡礼比較など多様な視点から四国遍路を論じる。愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター編。新書判。
安土宗論 信長と宗教 理崎啓著 哲山堂 1500円
比叡山を焼き討ちし、本願寺と戦った織田信長。天正五年に信長の命で行われた法華宗と浄土宗の法論「安土宗論」を中心に信長と宗教の関係を考察。
十牛図に学ぶ 横田南嶺著 致知出版社 1600円
真の自己はどこにあるのか。悟りに至る段階を十の絵と詩で著した中国・宋代の禅の入門書『十牛図』を、臨済宗円覚寺派管長が分かりやすく説く。
普勸坐禪儀提唱 立花知彦著 唯学書房 2000円
道元が正しい坐禅をあまねくすべての人々に伝えるために著した『普勸坐禪儀』を、曹洞宗准師家でもある住職が提唱。「下山の路は上山の路」など。
なぜ今、仏教なのか R・ライト著 早川書房 1080円
人間の心的活動の基盤は生物学的進化の過程で形成されてきたとする進化心理学。そこで明らかになった人間の「本性」を乗り越える鍵を仏教の瞑想に見出した全米ベストセラーの邦訳。
西田幾多郎 生成する論理 慶應義塾大学出版会 3200円
いかに生き、いかに死ぬか。実存の論理を突き詰めた西田幾多郎の思想の核心を、『善の研究』など代表作を順に読み解くことで迫る。氣多雅子著。
死ぬ練習 南直哉著 宝島社 1360円
生まれた以上、逃れられない死にどう向き合えばよいか。恐山院代でもある曹洞宗住職が説く。「死にゆく他者の傍らで」「遺された自己の損傷」他。
藤田弘基アーカイブス 藤田弘基撮影 渡辺出版 8000円
ユーラシア大陸の山岳地帯をフィールドに活躍し、ダライ・ラマ法王の随行カメラマンも務めた写真家が収めた仏教美術の写真集。編集・田中公明。
白隠さんの『延命十句観音経』を読む 汝のこころを虚空に繋げ 風雲舎 1500円
病の箇所だけでなく身心まるごとを診るホリスティック医学の実践者である帯津良一医師が、医療の現場を通じて白隠の教えを読み解くエッセイ集。
ブッダが教える心の仕組み 誠文堂新光社 1800円
著者はスリランカ上座仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老。喜びや悲しみを感じる心の仕組みを52のポイントから解説。絵・いとうみつる。
バンコク古寺巡礼 伊東照司著 雄山閣 3800円
タイ国のバンコクにある代表的な仏教寺院八カ寺について建築・美術・壁画などの見どころを詳細にガイドする。
死別後シンドローム 清水加奈子著 時事通信社 1800円
死別の苦から立ち直れず、心身に不調を来たす人に僧侶はどうかかわればよいか。「死別後シンドローム」に向き合ってきた精神科医が解き明かす。
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