[『月刊住職』 2021年1月号より転載]

近世の天台宗と延暦寺 藤田和敏著 法藏館 3500円
 江戸から明治への転換期、天台宗と延暦寺の実像はどのようなものであったか。当時の延暦寺の組織や財政状態、教団組織の構造などを中心に、神仏習合と神仏分離の様相に新視点で迫る。



「観音経」入門 有福孝岳著 晃洋書房 3200円
著者はドイツ哲学や道元禅の研究を行い、長年、国内外の大学で教鞭を取ってきた山口県の曹洞宗功山寺住職。『観音経』を人生の糧となるよう哲学、宗教、人間学の視点から説く入門書。



鈴木大拙禅を超えて 山田奨治他編 思文閣出版 7500円
西洋における禅ブームの立役者でもあった鈴木大拙。生誕150年を期し、欧米・日本の研究者15名が神秘思想や浄土真宗、軍国主義など多様な視点からその活動と思想を捉える論考集。



百六十七文字の公案 竹之下正俊著 ノンブル社 2600円
副題は「徳山宣鑑とふたりの学人」。徳山宣鑑は唐代の禅僧。志賀直哉が号泣したという、『無門関』中、叢林における昼飯前の騒動が主テーマの「徳山托鉢」章の公案を中心に読み解く。



童謡禅のこころを歌う 重松宗育著 禅文化研究所 1300円
著者は翻訳活動を通じて欧米に禅の思想を紹介する臨済宗妙心寺派住職。「しゃぼん玉」「からたちの花」など懐かしい童謡を題材に禅の教えを説く。



気持ちが折れない禅の習慣 枡野俊明著 秀和システム 1400円
人間関係や、経済不安から精神的に追い込まれる人が増えている。身心一如と捉え、行動を精神の安定につなげる「禅の習慣」を、世界的庭園デザイナーでもある横浜の曹洞宗住職が説く。



石田慶和集 真宗入門 宗教的人間の可能性 本願寺出版社 1600円
宗教は人間にとってどのような意味があり、親鸞の宗教体験とは私たちに何を説いているのか。初代・仁愛大学学長で宗教学者の故・石田慶和師の著述をまとめたシリーズ全3巻が完結。



日本宗教の信仰世界 伊藤聡・佐藤文子編 吉川弘文館 3800円
シリーズ『日本宗教史』の第5巻。日本人が生きるために育んできた宗教性を、古代の法会からご利益信仰、戦死者の追悼など多様な視点で捉える論考集。



ここにしかない原典最新研究による 本当の仏教 第4巻 鈴木隆泰 興山舎 2400円
本誌好評連載中の「最新版仏教文化基礎講座」単行本化の第4巻は釈尊が在家の人々に処方した対機説法の数々、釈迦族滅亡の真相や愚鈍とされた周梨槃特の覚りへの道のりなど全25講を収録しています。



よくわかる山岳信仰 瓜生中著 KADOKAWA 960円
日本の山岳信仰の原点を、宗教以前の原初信仰や神仏習合に辿り、さらに密教との融合による修験道の成立を解説する。「諸宗教の混淆」他。文庫判。



人生の終わりに学ぶ観想の智恵 北大路書房 4800円
日本にも影響を与えたキューブラー・ロスやシシリー・ソンダース等の死と看取りをめぐる研究者の論考を、ニューヨーク禅センターの設立者が編纂。



空海に学ぶキャリアデザイン 益田勉著 春風社 3500円
社会人学生として高野山大学大学院で密教学を修めた経営コンサルタントで大学教授が、空海の人生と思想をキャリアデザインという視点から辿る。



職人の日々は禅 阿部孝嗣著 開山堂出版 1800円
「道元の心を今に継いできたのは職人」が副題。若いうちの弟子入り、言葉より身体で覚えることが奨励される職人の世界に、道元の心を読み解く。



茶の湯の銘 禅のことば 淡交社編集局編 淡交社 1200円
茶道具の銘には禅にちなむものも多い。「安閑無事」など茶席で多く見る約300語を選び、その禅にかかわる教えなどを分かりやすく説明している。



インド神話 沖田瑞穂編訳 岩波書店 760円
仏教にも縁の深いヒンドゥー教の世界観に基づく神話を少年少女向けに分かりやすく編訳。「ガネーシャはなぜ象の頭になったのか」など。解説付き。



大原千鶴のお斎レシピ素材をたのしむ精進料理 東本願寺出版 1800円
テレビの料理番組でも活躍する京都在住の料理研究家が、身近な食材を調理して、仏事でいただくお斎として出せる精進料理77品のレシピを紹介。





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