[『月刊住職』 2022年5月号より転載]

『注大般涅槃経』の文献学的研究 青木佳伶著 法藏館 9900円
中国唐代に成立し日本に書写の一部が現存する大乗『大般涅槃経』の注釈書を学術調査し、その特徴や撰者を検討。資料として4巻分を翻刻し掲載する。著者は中国仏教と古写経の研究者。



談義所から檀林寺へ 関東天台宗教団の推移 内山純子著 青史出版 4730円
鎌倉時代以降に天台宗が東国に教線を展開して設置した談義所で僧侶が学問に励んでいた形跡を史料に基づき論じる。著者は東北大学国史談話会会員。



新訳ミリンダ王の問い 宮元啓一著 花伝社 3520円
上座部が伝えるパーリ仏典に含まれる、ギリシア人国王メナンドロスとインド人仏教僧ナーガセーナの対論を全訳。東洋文庫版から60年ぶりの新訳。



スッタニパータ ブッダの言葉 今枝由郎訳 光文社 1298円
「犀の角」や「慈しみ」の一節がよく知られるパーリ小部仏典『スッタニパータ』全文の新訳。チベット歴史文献学者が漢訳仏教語を使わず、先行する中村元訳よりも平易に翻訳。文庫判。



全文現代語訳維摩経・勝鬘経 大角修訳 KADOKAWA 1276円
在家信徒の優位を説く2つの大乗経典を宗教研究家が口語訳。各章冒頭に聖徳太子作とされる『三経義疏』を抄録。経典が日本仏教へ与えた影響などを解説するコラムも掲載する。文庫判。



不動明王 渡辺照宏著 吉川弘文館 2420円
不動明王の尊格や信仰を教義や歴史など多角的な面からやさしく解説。著者は真言宗智山派僧侶の仏教学者。1975年に朝日選書、2013年に岩波現代文庫として出版した名著の復刊。



親鸞と道元 平岡聡著 新潮社 880円
救いを説く浄土真宗開祖と悟りを目指す曹洞宗開祖の思想を比較検討。対照的に見えて実は共通点があると浄土宗僧侶の仏教学者は指摘する。新書判。



知ってよかった仏教三十話 阿波谷俊宏著 奈良新聞社 1320円
念珠、仏壇、墓まいり、梵鐘、阿弥陀如来など仏教全般に関する30の話題を融通念佛宗の前住職が解説。幅広い知識と豊富な経験談を交えて語る、宗派を超えた一般向けの仏教入門書。



歎異抄にであう 無宗教からの扉 阿満利麿著 NHK出版 1045円
テレビ『こころの時代』月1回シリーズのガイドブック。親鸞の語録『歎異抄』全文を掲載し、なぜ念仏で救われるのかを専門用語を排して解説する。



一遍を生きる ひろさちや著 佼成出版社 1650円
宗祖8人の生き方に学ぶシリーズの時宗開祖の巻。すべて捨てよの教えを今風に解釈し、希望を持たず反省せず現在をしっかり生きようと呼びかける。



奈良で学ぶ 寺院建築入門 海野聡著 集英社 1100円
古建築はどこに注目すればよいかを唐招提寺・薬師寺・興福寺・東大寺の実例で解説。屋根、柱、組物などを図と写真で紹介して技巧に迫る。新書判。



いまを生きるための宗教学 島薗進ほか編 丸善出版 4180円
神は存在するのか、日本人は無宗教かといった疑問に答える形式で、宗教の問題を現代的視点で解説する。仏教の章は杉木恒彦広島大学教授の担当。



すぐわかる日本の仏教改訂版 大角修著 東京美術 1980円
日本仏教の全貌を、古代から近現代への歴史的変遷、高僧たちの生涯と思想、寺院参拝や修行などの仏教体験の3章で紹介。2005年刊行書を改訂。



地形と地理でわかる神社仏閣の謎 古川順弘・青木康著 宝島社 1210円
「寛永寺は江戸城の鬼門を守る地に建てられた」など50の寺社と霊場の場所の由来をカラー図版で紹介。新書判。



一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 宗教編 山﨑圭一著 SBクリエイティブ 1650円
13の宗教の特徴を手際よく解説。著者は公立高校教師ユーチューバーで、説明に年の表記を用いないのが特徴。



世界の終わり賢者たちの遺言 フレデリック・ルノワール著 飛鳥新社 1540円
世界的に有能な宗教者や哲学者らが少年と少女に人類の智慧を伝授。直後に世界が…。フランスの人気書の邦訳。



ほんとうにすごい仏像図鑑 長谷法寿監修 朝日新聞出版 1320円
特徴ある仏像103体をカラーイラストで紹介。技巧や美しさ、神秘性など注目すべきポイントに引き出し線で説明を加え、鑑賞する際の一助とする。



仙厓BEST100 ARTBOX 出光美術館編著 講談社 2750円
江戸時代の禅僧仙厓が描いた禅画から人気の百点を選び、見どころを拡大して掲載。専門学芸員8人が絵の面白さに秘められた禅の教えを解説する。





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