[『月刊住職』 2022年6月号より転載]

日光山秘話 中川光熹著 随想舎 5500円
天台宗住職による地元の日光山信仰に関する論文の集成。修験道の歴史の考察を中心に寺社・石造品・円空仏・念仏道場・街道などの調査結果を収録。



日本近世の宗教秩序 浄土真宗の宗旨をめぐる紛争 小林准士著 塙書房 9900円
神祇不帰依の宗風に関する争論や教学論争を確認した上で、日本近世後期における宗教秩序とその展望を示す。



現代社会を宗教文化で読み解く 櫻井義秀・平藤喜久子編著 ミネルヴァ書房 3300円
葬式仏教や聖地巡礼など身近な切り口から宗教の文化的課題に迫る。ジェンダー、社会活動、カルトなど現代的テーマにもそれぞれ章を設けて論じる。



目覚めるアメリカ仏教 ケネス・タナカ著 武蔵野大学出版会 2530円
浄土真宗僧侶で日系3世としてアメリカでの生活が長い仏教学者が、当地の仏教の歴史や特徴を解説。仏教徒ではない仏教共感者の存在など、日本仏教の未来を考える上でも示唆に富む。



仏教的心理学と西洋的心理学 ヴォルフガング・ギーゲリッヒ著 猪股剛ほか訳 創元社 3960円
ドイツのユング派分析家が華厳思想に注目し、河合隼雄や井筒俊彦らの論述を引きながら心理学の新たな展開を模索する。著者インタビューも収録。



道慈 曾根正人著 吉川弘文館 2090円
奈良時代前期の知られざるエリート官僧・道慈の評伝。唐留学から帰国し大安寺を拠点に国家仏教主導者としての活躍を数少ない史料から再現、同時代のライバル神叡との比較も試みる。



金峯山寺の365日 五條永教著 西日本出版社 1870円
金峯山修験本宗総本山金峯山寺の若き執行長が吉野の四季や修験道の修行をカラー写真と共に紹介するエッセイ。映像作家保山耕一撮影のDVD付き。



とちぎ発31日で心がととのう書き込み式「般若心経」練習帳 下野新聞社 990円
般若心経を一節ごとに分けて学び、31回で全文を書写する。真言宗智山派の松本弘元住職・松本亮太副住職が監修。仏教に関するコラムも掲載。



維摩さまに聞いてみた 細川貂々著 晶文社 1540円
大乗仏典『維摩経』の漫画化。原文の構成を生かしつつも現代語に噛み砕き「生きづらさを抱えて生きるには」という著者の悩みに答える展開に脚色。宗教学者の釈徹宗が監修し解説する。



仏教のことば・考え方 ひろさちや著 佼成出版社 1980円
中道、慈悲、縁起など仏教の重要なテーマを、自身の経験などを交えて自在に語る。1979年に刊行した『ひろさちや仏教名作選』第1巻の新装版。



中国思想史 武内義雄著 講談社 1386円
孔子と諸子百家の台頭から仏教の伝来、儒道仏の対立に至る中国の哲学思想史を手際よく概説。1936年刊行以来読み継がれてきた書の初の文庫化。



善光寺と諏訪大社 長尾晃著 鳥影社 1760円
信州を代表する寺社である善光寺と諏訪大社の関係を立地や歴史から推測、善光寺が東向きだった説などを検証する。著者は建築家で歴史文化研究者。



近現代日本とエホバの証人 その歴史的展開 山口瑞穂著 法藏館 3300円
キリスト教系の新宗教「エホバの証人」が日本でいかに展開してきたかを宗教社会学の視点から検討した研究書。



東アジアと日本 吉村武彦ほか編 KADOKAWA 2420円
「地域の古代日本」全6巻シリーズ第1巻の総論。古墳時代から奈良時代までを掘り下げる中の1章「仏教の東漸と寺院」で仏教伝来や官寺建立を考察。



民俗学入門 菊地暁著 岩波書店 968円
普通の人々が営む日々の暮らしを探求する民俗学の基礎を概説。衣食住や血縁など私たち自身が資料になる学問の面白さと有効性を伝授する。新書判。



呪いの日本史 渋谷申博著 出版芸術社 1760円
神話時代から近世までの呪術にまつわる百のエピソードを掲載。密教の秘法や元三大師の法力のほか、意外にも禅僧が除霊の力に優れていた例も紹介。



善光寺御開帳公式ガイドブック 善光寺御開帳奉賛会ほか編 信濃毎日新聞社 1100円
7年に1度、今年6月29日まで行われている前立本尊御開帳の案内本。仏事の内容から北信濃の情報まで網羅。



仏像えほん ぼくとぞうの有頂天たび 店橋花里著 ヤマビコハウス 2200円
初めて仏像を見た少年が、突如現れた象に導かれて仏像の世界を巡る。幼児から大人まで、仏像の種類や素材、ポーズなどの基礎知識を学べる絵本。





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