[『月刊住職』 2022年8月号より転載]
仏教漢語 語義解釈 船山徹著 臨川書店 3960円
「法」「衆生」「方便」など中国で漢字に訳された仏教用語50例をインドの原語と対比させて分析。音写語や新漢字などに分類し、漢語文化圏の国で仏教がどう受容されてきたかを解説する。
山岳信仰伝承と景観 笹本正治著 岩田書院 18480円
霊山の信仰に関する論考。長野県松本市の会田虚空蔵山をはじめとして各地の虚空蔵菩薩の信仰、富士山・戸隠山ほかの山岳信仰、洞窟や巨岩にまつわる伝承などを調査に基づき論ずる。
空海 松長有慶著 岩波書店 968円
弘法大師の密教思想を自然観や生死の問題などテーマ別に解説。文字の読み替えや教育機関の開設といった先進性を元高野山真言宗管長がインド仏教や近代科学も参照して伝える。新書判。
喜怒哀楽のお経を読む 釈徹宗著 朝日新聞出版 1650円
仏典の中で「恐れ、怒り、笑い、悲哀、老・病・死」の各テーマを説く部分を抽出して解説。在家者が研究者に教わる架空の設定で、仏教の知恵を一般向けに噛み砕く。著者は真宗住職。
インドの死生哲学「死」とはなにか 宮元啓一著 花伝社 2200円
仏教の死生観や輪廻の考え方をさらに古いヴェーダ思想などに遡って解説。哲学研究者が受講者と議論をする構成の「インド哲学教室」シリーズ第1卷。
生命操作と仏教 早島理著 本願寺出版社 1760円
生命倫理の諸問題を仏教思想の立場で考察する講演集。浄土真宗住職の仏教学者が脳死や臓器移植、ゲノム編集、出生前検査などの先端医療を仏教が説く〝いのち〟という視点から検討する。
現代語訳他阿上人法語 法藏館 3850円
時宗二祖他阿真教が残した法語や消息の原文と現代語訳を掲載。教団の基礎を築いた真教の七百年遠忌記念事業として教学の研究者からなる『他阿上人法語』現代語訳研究会が訳・編集。
自分らしい死に方 藤原東演著 成美堂出版 748円
「生き方が死に方を決める」「つながりは消えない」など、仏教で考える死を臨済宗妙心寺派住職が語る。人生を見つめ直すためのエッセイ。文庫判。
仏教者柳宗悦 浄土信仰と美 岡本勝人著 佼成出版社 3080円
民藝運動で知られる柳宗悦の仏教信仰を考察。木喰仏の発見から鈴木大拙との接点、浄土教への傾倒など。文芸評論家による仏教雑誌連載を再編集。
みんなを元気にする10人の住職 『月刊住職』編集部編 興山舎 2200円
本誌好評連載が単行本になりました。「10人の住職」シリーズ第3弾。地域に根ざして活動する十カ寺の取り組みを紹介するルポルタージュ。お寺の活動が地域や人々に活力を与えている実践集。
インド宗教興亡史 保坂俊司著 筑摩書房 968円
インド文明の中で展開したヒンドゥー教とそのライバルである仏教・ジャイナ教・ゾロアスター教・イスラム教・シク教・キリスト教を解説。新書判。
渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか 見城悌治ほか編 ミネルヴァ書房 4180円
実業家渋沢栄一は無宗教を自称しつつも宗教を支援した。寛永寺など寺社と渋沢との関係を研究者らがひもとく。
教養としての神道 島薗進著 東洋経済新報社 1980円
神道の歴史を起源から近現代まで平明に解説。とくに神仏習合の時代から明治に国家神道へと変化する過程を詳しく辿った上で現在の役割を確認する。
日本建築を作った職人たち 浜島一成著 吉川弘文館 2640円
古代から近世までの木造建築の歴史を建造物ではなく建てた大工に焦点を当てて解説する。東寺や高野山などの史料から造営組織の変遷や給料も紹介。
日本人はどう死ぬべきか? 養老孟司・隈研吾著 新潮社 605円
解剖学者と建築家の対談集。話題は双方の専門分野から墓や葬儀にまで幅広く展開する。文庫化に際して「これからの日本人の死生観」の章を加える。
僕の歩き遍路 中野周平著 西日本出版社 1650円
三十代男性が野宿自炊で一カ月半をかけて四国八十八ヶ所を巡った記録。体験談や巡礼中考えたこと、ルートや出費などをイラストを交え克明に記す。
夢・神話・物語と日本人 河合隼雄著 岩波書店 1276円
臨床心理学者が国際的会議で行った英語講演を息子の河合俊雄が日本語訳。明恵の夢記の分析などから日本人の精神に迫る研究を簡明に伝える。文庫判。
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