[『月刊住職』 2022年9月号より転載]

法然・親鸞にいたる浄土教思想 小谷信千代著 法藏館 4180円
浄土が信じられなくなった近代、浄土教では現世往生という合理的解釈がなされてきた。浄土真宗住職の仏教学者が祖師方の言説に立ち返り、死後に仏となる還相回向の構造を考察する。



仏と菩薩 平岡聡著 大法輪閣 2420円
ブッダとボーディサットヴァとの違いを整理することで初期仏教から大乗仏教に至る歴史の展開を考察する。浄土宗僧侶の仏教学者による平明な論考。



仏教の大東亜戦争 鵜飼秀徳著 文藝春秋 1210円
日本仏教各宗派は先の戦争に積極的に加担した。浄土宗住職のジャーナリストが全国各地の寺院を取材し軍用機献納や金属供出の実態に迫る。当時を知る住職3人の証言も収録。新書判。



真言僧丸山貫長 山口靜一著 青垣出版 4950円
明治・大正期に奈良の室生寺や大蔵寺の住職を務めた丸山貫長の評伝。岡倉天心と交遊、真言実行会の開設、愛弟子との別れなど波瀾の生涯をたどる。



『歎異抄』講義 阿満利麿著 筑摩書房 1650円
親鸞の語録『歎異抄』の講義録。宗門に属さない宗教学者が従来の解釈にとらわれず解説。挿入される聴衆の感想や質疑応答も傾聴に値する。文庫判。



ナゾトキ! 親鸞聖人ものがたり 佐藤慶樹著 本願寺出版社 1980円
ことばの連想や並び替えのクイズ50問を解きながら浄土真宗開祖の生涯を学ぶ。若年層がエンターテインメントを通じて宗門の教えに親しめる一冊。



今を生きる練習 五十川幸導著 クロスメディア・パブリッシング 1188円
曹洞宗住職が生き方に迷う人に寄り添うエッセイ集。悩みに応じて「各駅停車でいい」「それでも前を向いて」と禅の教えに照らして助言し励ます。



折れない心を育てる仏教語 枡野俊明著 河出書房新社 715円
有り難い、お陰様、実際、出世、自由……暮らしに溶け込む80の仏教語を曹洞宗住職が紹介。人生を変えるヒントとして前向きに解説する。文庫判。



『観心本尊抄』の世界 上巻 庵谷行亨著 日蓮宗新聞社 2200円
日蓮の最重要書『観心本尊抄』の解説。述作750年を記念し日蓮宗新聞連載コラムを真筆の図版と共にまとめる。上巻は第20番問答の途中まで。



無縁社会の葬儀と墓 死者との過去・現在・未来 山田慎也・土居浩編 吉川弘文館 4180円
死者儀礼の実態・制度・観念に関する論文集。孤立の現実から近代へと遡り、助葬や互助システム、永代供養墓や納骨堂、家墓などの問題を、民俗学や宗教社会学の研究者11人が論じる。



東アジア宗教のかたち 櫻井義秀著 法藏館 2750円
副題は「比較宗教社会学への招待」。タイ・中国・チベット・台湾・香港・韓国・日本の諸宗教を現地調査にもとづき解説する。10年にわたる『月刊住職』連載に書き下ろしを加えて刊行。



宗教信仰復興と現代社会 島薗進編 国書刊行会 3300円
現代宗教に期待される役割を見据え、「無仏で災厄の時代こその仏教」「スピリチュアリティの発生と展開」「新宗教と利他」等の論考と座談会を収録。



禅とキリスト教 クラウス・リーゼンフーバー著 知泉書館 2750円
上智大学に勤めたドイツ人神父が長年取り組んだ坐禅の場で語った提唱の記録。聖書の一節を交えるなど禅宗の師家とは違う角度から禅の核心に迫る。



絵巻で読む方丈記 田中幸江訳注 東京美術 2530円
鴨長明の随筆を描いた江戸時代の絵巻を解説。有名な火災や地震の場面をカラー画像と訳文で再現。訳者は中世文学研究者で真言宗智山派の寺庭婦人。



駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 村松哲文著 集英社 1265円
京都・奈良などに現存する仏像を例に、テレビ講座でもおなじみの研究者が特徴や鑑賞ポイントを解説。新書判。



語れるようになる 仏像のみかた 大角修監修 成美堂出版 1540円
仏像の基礎を印相や持物などのテーマ別にイラストで解説、後半は全国の有名寺院が所蔵する仏像を尊格別にカラー写真で掲載しその見どころを紹介。



6匹の猫と住職 那須の長楽寺著 主婦の友社 1320円
何気ない朝食風景がSNSを通じて25万人に視聴されている真言宗智山派寺院の日常を紹介。マイペースな住職とおかみと猫たちのファンブック。



説話集内容総覧 仏教編 日外アソシエーツ 32780円
日本語の仏教説話15062タイトル、掲載図書359点のデータを収録。ジャータカの翻訳から創作話までを作品名や著者名で検索できる。





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