[『月刊住職』 2022年11月号より転載]

インド・ジャータカ図の研究 杉本卓洲著 起心書房 13200円
曹洞宗住職で研究者の著書がジャータカの図版数百点を集めて典拠や表現の特徴などを整理。結論としてジャータカがもともと一般的な前生譚であり、ブッダに限るものではないことを示す。



日本仏教の社会倫理 島薗進著 岩波書店 1694円
日本仏教史を宗教本来の社会実践の面で捉え直す論考。本誌連載を再編集した2013年刊行書の文庫化。副題を「正法を生きる」と改め、補章「近代日本仏教の社会倫理」と索引を追加。



近江の聖徳太子 大沼芳幸著 海青社 1980円
近江地域で聖徳太子に関する伝承がある33件の寺社や場所を紹介。共通するのは日本書紀などに載る史実ではなく、のちの太子信仰から生まれた伝説の歴史文化遺産であるという経緯。



薬師寺 美術史研究のあゆみ 大橋一章ほか編 里文出版 2970円
法相宗大本山薬師寺の建築・彫刻・絵画・工芸品から10作品を選び、研究者が美術的見地から論じる。2000年刊行書に新知見を加えた増補改訂版。



苦しみとサヨナラする人生相談 露の団姫著 佼成出版社 1540円
天台宗僧侶が恋愛や仕事、親子、生死など40の悩みに回答。落語家の顔も持つ著者がきわどい質問にもユーモアを交え仏教的な生き方を明快に示す。



ま、いいか。 玉置妙憂著 大和出版 1650円
副題は「無理しない・イライラしない・振り回されない人づきあいの知恵袋」。高野山真言宗僧侶である看護師が、自分はこんなものだと知り人生をもっと気楽に生きるためのコツを説く。



法然上人二十五霊場への誘い 山本博子著 東方出版 1980円
浄土宗開祖法然ゆかりの25カ寺を境内や御朱印の写真と共に案内。霊場巡拝の歴史を最新研究に基づき紹介し、巡拝用品や作法、御詠歌も解説。



真宗伝道学研究序説 深川宣暢著 永田文昌堂 2640円
教義を対象とする真宗学とは別に、伝道の実践を「真宗伝道学」という学問として体系化。親鸞以来の現場での説教の展開と課題や可能性を考察する。



てきとう和尚が説く この世の歩き方 浦上哲也著 PHP研究所 1430円
死を考えるワークショップを催している浄土真宗住職が自身の体験などをもとに心がスッと軽くなる生き方を伝授。適当をキーワードにもっと自分を甘やかしてもいいと説く法話エッセイ。



親鸞が導く 歎異抄 釈徹宗監修 リベラル社 1100円
『歎異抄』から親鸞のメッセージ66句を厳選して解説。スリム手帳サイズの造本で日本画家臼井治の絵を添え、巻末に歎異抄全文と現代語訳を掲載。



井上円了 その仏教思想 竹村牧男著 青土社 3960円
近代教育を切り開き哲学や妖怪学の研究でも知られる井上円了が、なによりも仏教の復興を追求していたことを論証。大谷派寺院に生まれて仏教書も数多く遺した円了の思想をひもとく。



写経入門 田中塊堂著 講談社 1012円
信仰の行としての写経の歴史や作法、般若心経の内容、筆写体の特徴などを書家が解説。書写手本と紙罫が版元サイトでダウンロードできる。文庫判。



葬儀! ジュリエット・カズ著 柏書房 1980円
人類学者が世界の葬儀を案内。ニューオーリンズの音楽葬やチベットの天葬ほか13地域。日本の章では湯灌など伝統的風習とお弔いロボットを紹介。



近江の土葬・野辺送り 高橋繁行著 サンライズ出版 1650円
滋賀県内で実際に行われている特徴的な弔いの風習十二例のルポ。葬祭研究所主宰者が各地で聞き取りを行い、自身が制作した切り絵とともに紹介。



ひとかけらの木片が教えてくれること 田鶴寿弥子著 淡交社 1980円
仏像や建物にどんな木材が使われてきたか。文化財の樹種を科学的に識別する専門家が研究の一端を平易に解説。



新版 一冊でわかるイラストでわかる図解宗教史 塩尻和子ほか監修 成美堂出版 1650円
世界の主要宗教の起源から現代の課題までを写真・年表・地図などでビジュアル解説。最新の知見による改訂版。



亡き者たちの訪れ 若松英輔著 亜紀書房 1980円
批評家が身近な人の死をめぐって語った講演と関連するブックガイドをまとめた2012年刊行書の改訂版。新たに「上原專祿の死生観」などを増補。



スマホ片手に日本百観音旅日記 諸原潔著 日本地域社会研究所 2000円
西国・坂東・秩父の百観音に熊野古道を加えた霊場巡りガイド。スマホを駆使し電車の時刻や駅からお寺までのルートを調べ、自撮り写真と共に掲載。





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