[『月刊住職』 2023年4月号より転載]

アジア人物史 第1巻 姜尚中総監修 集英社 4400円
アジア史に登場する人たちの評伝を研究者が書き下ろし時代順に配列した全12巻。初巻は「神話世界と古代帝国」と題し、ブッダ(執筆馬場紀寿)、アショーカ(同古井龍介)他を収録。



「水子供養」の日台比較研究 死者救済儀礼の創造と再構築 陳宣聿著 晃洋書房 8030円
水子供養の背景にある思想から現代社会の胎児観の変化を考察する。日本と台湾の水子供養の歴史や儀礼を比較し、日本から台湾に伝来した説を検証。



政治と宗教 島薗進編 岩波書店 924円
新宗教と政治家との癒着から生じた民主主義の機能不全や公共空間の危機を論ずる。統一教会や創価学会など国内事情に加えてアメリカとフランスの状況も専門の研究者が論じる。新書判。



吾妻鏡と鎌倉の仏教 菊地大樹著 吉川弘文館 2750円
鎌倉時代に仏教はどんな役割を担ったか。鎌倉幕府が編纂した歴史書『吾妻鏡』から仏教関係の記事を抽出して、源頼朝の信仰や、高僧の動向を解説。和風漢文を読みこなすコツも身につく。



縮刷版 伝教大師真蹟集成 赤松俊秀他編 法藏館 9900円
「久隔帖」「将来目録」など現存する最澄の遺墨すべてを収録し、研究者が人物や書風を解説。2色刷りだった1979年初版本をカラー写真で復刊。



完全読解 歎異抄入門 田中治郎著 ビジネス社 1980円
『歎異抄』一条ずつの原文と現代語訳を載せ、仏教書を数多く著してきた文筆家が解説。駆け足になりがちな同書後半の歎異編と述懐編も丁寧にたどる。



すらすら読める歎異抄 ひろさちや著 講談社 671円
『歎異抄』の原文をルビ付き大活字で掲げ、下段に対訳を掲載。後半は同書がどんな本かを説明し、テーマである「悪人」と「往生」を解説。文庫判。



不動智神妙録/太阿記/玲瓏集 沢庵宗彭著・市川白弦訳注 筑摩書房 1100円
江戸初期に剣禅一如を説いた臨済宗僧沢庵の3作品の原文・現代語訳・注釈を収録。僧侶で社会運動家の訳者による1978年刊行書の一部を文庫化。



悩むことは生きること 平井正修著 幻冬舎 1144円
人はなぜ生きるかや本当の自分とはといった悩みから、お寺・修行などに関する基本的な質問まで95問に臨済宗国泰寺派住職が答える。新書判。



ここにしかない原典最新研究による 本当の仏教 第5巻 鈴木隆泰著 興山舎 2640円
本誌好評連載が単行本になりました。「最新版仏教文化基礎講座」シリーズの5巻目は副題が「お釈迦さま究極の重要直伝『涅槃経』を正しく読み解く(1)」。最後の旅路で説いた仏教の根本思想が明らかに。住職にとって重要な教えが満載です。



臨済録に学ぶ 横田南嶺著 致知出版社 2200円
禅語録『臨済録』から学ぶべきポイントを無位の真人・随処に主と作る・活溌溌地と3つ挙げて解説。臨済宗円覚寺派管長による連続講座の書籍化。



あなたの牛を追いなさい 松重豊・枡野俊明著 毎日新聞出版 1650円
還暦を迎える俳優と曹洞宗住職との対談。仕事上の迷いや人間関係での悩みを解決するヒントを十牛図に学ぶ。



みんなの宗教2世問題 横道誠編著 晶文社 1980円
宗教を信奉する親の影響を受ける子供の実態を多角的に考える。当事者10人の証言、識者の意見、精神医療や報道の観点からの分析、今後の展望まで。



カルト宗教 紀藤正樹著 アスコム 1320円
霊感商法などの問題に取り組んできた弁護士がカルト団体の実態をリアルに解説。勧誘の手口や脱会方法を明かし、被害者を救済するすべを伝授する。



文化財をしらべる・まもる・いかす アグネ技術センター 3960円
文化財の保存と修復に関する活動の最前線を紹介。カビや害虫や被災の事例、寄託品修理の実情などを国立文化財機構の担当者が語る。早川泰弘他編。



あかあかや明恵 梓澤要著 新潮社 2090円
華厳宗中興の祖・明恵の生涯を架空の従者の語りで綴る長篇小説。空也や運慶を描いてきた時代小説作家が明恵のよく知られたエピソードを活写する。



ヤンキーと住職 近藤丸著 KADOKAWA 1320円
人付き合いの苦手な住職がこわもての不良青年に仏教の基礎を教えられる。本願寺派僧侶で宗門校教員の著者がSNSで発表してきたマンガを再編集。





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