[『月刊住職』 2023年10月号より転載]
最北の国分寺と蝦夷社会 斎野裕彦著 敬文舎 13200円
陸奥国分寺・国分尼寺が、蝦夷と呼ばれた人々の住む社会とどう関わりをもっていたかを、当時の文献史料と遺跡調査成果に基づいて解明する論考。
新版仏教と事的世界観 廣松渉・吉田宏晳著 塩野谷恭輔解説 作品社 2970円
東京大学同期生の哲学者廣松渉と真言宗智山派学僧吉田宏晳との対談。仏教を軸に話題は西洋哲学や科学へと展開。1979年刊行書に解説を追加。
須弥山と極楽 仏教の宇宙観 定方晟著 筑摩書房 1100円
地獄・極楽といったあの世や、刹那をはじめとする時間の長さなどを仏教がどう捉えてきたかの変遷を、仏教学者が図を示しながら詳述。1973年刊の新書を文庫化して佐々木閑が解説。
弥勒信仰 速水侑著 吉川弘文館 2420円
兜率天にいて将来下生するとされる弥勒菩薩の信仰について、仏典の記述を確認した上で、古代から中世までの展開を整理する。研究が盛んな阿弥陀信仰とは別の浄土信仰の貴重な考察。
お地蔵さんと日本人 清水邦彦著 法藏館 1980円
地蔵信仰を歴史・宗教・文学・民俗などさまざまな角度から解説。中国から日本への伝播と普及、中世から現代までの信仰の展開を見渡して、お地蔵さんがなぜそこにいるのかを考える。
言い訳するブッダ 平岡聡著 新潮社 858円
「ブッダは眠らない」など仏教者の理想と現実には矛盾が生じる。矛盾を埋め合わせる言い訳に仏教学者の浄土宗僧侶が注目、その理由を探る。新書判。
あなたの「生きたい」を支えます 玉置妙憂著 佼成出版社 1540円
看護師で高野山真言宗僧侶の著者が生きづらさを抱える人に自分を変えるためのヒントを提示。スピリチュアルケアの活動に通じる仏教の核心を語る。
顕浄土真実教文類述讃 満井秀城著 永田文昌堂 5500円
親鸞著「顕浄土真実教文類」の一言一句について細部にわたり解説。坂東本を底本、西本願寺本を対校本として、巻末の附録に対照所感も収録する。
月性を読む 愛甲弘志・上田純子編 右文書院 2750円
幕末の本願寺派住職月性が作った漢詩25首と建白書三本を収載し注釈。海防僧として支持された知識人の憂国の思いをたどり、当時の世論を背景としたその可能性と限界とを読み解く。
崖っぷちのあなたを救ってくれるお坊さんの話 篠原鋭一著 三笠書房 847円
曹洞宗住職で自殺志願者の相談活動に取り組んでいる著者が「どんなときでも出口は必ずあるよ」と優しく語りかける36のエピソード集。文庫判。
初瀬句集 付連歌・和歌・御詠歌 清水宥聖編 青史出版 2750円
奈良県真言宗豊山派総本山長谷寺を詠んだ俳句306句を収録。前著『初瀬和歌集』の続編で、本書には和歌の補遺に加え連歌と御詠歌、索引も付す。
カイエ・ソバージュ完全版 中沢新一著 講談社 7700円
2002~4年に刊行された比較宗教論の講義録全5巻が1冊の愛蔵版に。神話論、国家論、贈与論、宗教論、そして「対称性人類学」と題する最終章。
絶滅する「墓」 鵜飼秀徳著 NHK出版 1210円
浄土宗住職のジャーナリストが変化する葬送文化の現状を全国各地で取材してリポート。土葬、両墓制、沖縄の風葬やアイヌの男女別葬など。新書判。
わたしが「カルト」に? 齋藤篤・竹迫之著 日本キリスト教団出版局 1650円
カルト脱会者で今は被害者支援にあたる牧師2人が、カルト問題の現状や被害防止の対策を解説。川島堅二監修。
高野街道を歩く 森下惠介著 東方出版 3080円
京都や大阪などから聖地高野山へ向かう参詣道が高野街道。信仰と物流の道をかつての旅人のように歩くためのガイド。写真・絵・地図を多数収載。
二尊院の二十五菩薩来迎図 二尊院編著 国書刊行会 4180円
京都府天台宗二尊院に室町時代から伝わる「二十五菩薩来迎図」の大判高精細画像を掲載。美術、歴史、科学調査の各分野の専門家による論考を収録。
吉祥の龍を描く 北畠聖龍著 日貿出版社 2200円
仏画と写経を専門とする著者が龍を描いた作品を紹介。屏風から絵葉書まで水墨や金泥など多彩な創作と共に、
龍を描く方法や年賀状の図柄案も掲載。
古美術骨董ハンドブック 新装改訂版 メトロポリタンプレス 1320円
茶道具・書画・刀剣・仏教美術などを鑑賞する際に必要な知識を図解で説明するハンディな手引書の最新版。中国・朝鮮半島・日本対比年表を付載。
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