[『月刊住職』 2024年5月号より転載]

文殊菩薩の研究 光川豊藝著 法藏館 17600円
文殊菩薩に託された思想の解明に力を注いだ著者は本論の完成前に逝去。6件の研究を収録する論考編と、関連経典の内容を整理した解題編を、教え子の井上博文と金澤豊が一冊に編集。



蔵文和訳大乗アングリマーラ経 加納和雄訳 起心書房 12100円
初期仏典に説かれるアングリマーラの物語を大乗仏教の立場から読み替えた経典のチベット訳を日本語訳。解題で同経の背景にある如来蔵思想を詳述。



日本の近代思想を読みなおす2 日本 末木文美士著 東京大学出版会 4950円
明治以降の日本の思想を再考する全15巻シリーズで日本がテーマの巻。西田幾多郎、柳田国男、丸山眞男らの著作を仏教学者の著者が引用し解説。



本地垂迹 村山修一著 筑摩書房 1760円
神仏習合の一形態である本地垂迹の日本での展開をたどる。仏と神だけでなく道教・儒教・陰陽道や実在の人物とも融合し政治や文化に影響を与えてきた。半世紀ほど前の研究書の文庫化。



求道の越境者・河口慧海 根深誠著 中央公論新社 3300円
明治時代に日本人として初めてチベットに潜入した僧侶河口慧海がたどったルートの謎を登山家でノンフィクション作家が解明する。著者が94年に出版した『遥かなるチベット』の続編。



西行 歌と旅と人生 寺澤行忠著 新潮社 1760円
武士から出家し優れた和歌を詠んだ西行の生涯には後付けの伝承も少なくない。西行歌集研究の第一人者が歌や史料を引きながら、出家の背景や旅、桜、蹴鞠などテーマごとに真実に迫る。



往生要集入門 悲しき者の救い 石田瑞麿著 講談社 1210円
地獄極楽を描いた『往生要集』を当時の文化的背景に基づき解説。作者源信の観想念仏の思想と共に、法然・親鸞の称名念仏の礎を見いだす。文庫判。



そのとき門はひらかれた 法然上人ものがたり 中川学絵 アリス館 2200円
浄土宗開祖法然の半生を描いた絵本。法然上人ものがたり絵本制作委員会が監修・解説し、浄土宗西山禅林寺派住職のイラストレーターが絵を担当する。



日常からはじまるサステナビリティ 松本紹圭著 淡交社 1870円
浄土真宗本願寺派僧侶が各界でサステナブルな生き方を体現する人と対話しSDGs実現の道を考える。対談相手は料理研究家や民藝店店主ら6人。



良寛の生涯と芸術 小島正芳著 考古堂書店 3960円
全国良寛会会長を務める研究者が良寛上人の生涯と書の変遷を解説する。著者の『若き良寛の肖像』ほか既刊書の内容に新たな発見を加えて書籍化。



教養として知っておきたい宗教学 中村圭志著 PHP研究所 913円
宗教を信仰という面ではなく文化・社会的な知識としての理解を目指す入門書。聖と俗、祈り、救済、儀式といったキーワードで易しく解説。文庫判。



おみくじの歴史 平野多恵著 吉川弘文館 2090円
寺院に多い漢詩みくじと神社の和歌みくじのそれぞれのルーツを探り、現代に生まれた変わり種も含めて解説。著者はおみくじ制作に携わる研究者。



生ける死者の震災霊性論 金菱清著 新曜社 2530円
東日本大震災を経験した人に聞き取りと手記を書いてもらう活動を続けている研究者が、生者と死者のつながりを霊性という面から捉え直し考察する。



グリーフケアとグリーフカウンセリング 瀬藤乃理子・広瀬寛子著 日本評論社 2640円
大切な人を亡くした遺族に寄り添い支える方法を医療職の著者2人が具体的な状況に即して解説する実践ガイド。



葬送のお仕事 井上理津子著 解放出版社 1980円
児童書「お仕事探検隊」シリーズの一冊。死を説明した上で、葬儀社や火葬場で働く人を紹介し偏見を払拭。著者は葬儀業界を取材してきたライター。



今こそ行きたい日本の古寺200選 宝島社 1540円
日本全国の有名寺院2百カ寺を時代別・宗派別に紹介。観光で参詣することを想定し、寺史や見どころをカラー写真と共に掲載するA4判大型ムック。



デジタル遺品の探しかた・しまいかた残しかた+隠しかた 伊勢田篤史ほか著 日本加除出版 2200円
故人のデジタル機器のデータ処理やサービス解約の対応法を弁護士らが解説。生前の隠し方も伝授。改訂第2版。



寺院のための法律基礎知識Q&A 志田祐義監修 日本法令 3190円
寺院運営で直面し得る法律と税務上の問題を説明。墓地の契約や新規事業、クラウドファンディング、インボイスまで、本願寺派僧侶の弁護士が監修。





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