[『月刊住職』 2024年6月号より転載]

敦煌石窟美術の研究 濱田瑞美著 中央公論美術出版 15400円
莫高窟に代表される中国甘粛省敦煌地域の石窟は往時にどのような世界を表現していたのか。その図像構成や制作意図を仏教美術の研究者が論じる。



清朝皇帝とモンゴル僧 新藤篤史著 風間書房 6600円
清朝によるモンゴル統治と仏教政策を内陸アジア史研究者が考察する。モンゴルにおける仏教権威の誕生や、影響を及ぼしたチベット仏教などを検証。



鎌倉時代の幕府と仏教 平雅行著 塙書房 13200円
鎌倉時代の国家構造や鎌倉幕府の宗教政策、顕密仏教の展開などを日本史学者が総括的に整理し、鎌倉仏教の展開と当時の仏教界の実態を究明する。



祭礼と葬送の行列絵巻 福原敏男著 岩田書院 13200円
従来、祭礼と葬送は吉と凶の正反対のイメージで理解されているが、祭礼文化史の研究者がその類似性に注目、歴史民俗画像に描かれた各地の神事などを例として行列や道具を比較する。



日本仏教再入門 末木文美士編著 講談社 1496円
放送大学のテキストに加筆し文庫化した日本仏教概説書。頼住光子が各宗派の祖師方の生涯と思想を担当、大谷栄一が近代仏教を、末木文美士が戒律や葬式仏教ほか各種テーマを講義する。



日本近世史を見通す6 宗教・思想・文化 上野大輔・小林准士編 吉川弘文館 3080円
刊行中の江戸時代史最新研究論集全7巻のなかで信仰や学問をテーマとする巻。仏教教団や民間宗教者、寺社参詣、書物文化などを研究者9人が考察。



天王寺舞楽 小野真龍著 法藏館 2640円
神道に純化した宮内庁の雅楽に対し、古い仏教的要素の伝統を守るのが四天王寺に伝わる舞楽。その代表を務める本願寺派住職が聖徳太子の時代から継承されてきた歴史と特徴を解説する。



名宝で辿る法然と浄土思想のすべて 岩田文昭監修 宝島社 1540円
浄土宗開祖法然の生涯と名言、浄土教の歴史と主要寺院をカラー写真と共に紹介するムック本。東京・京都・九州を巡回する特別展の解説も兼ねる。付録に国宝仏画「早来迎」ポスター。



入門・世界の宗教 角田佑一著 ミネルヴァ書房 2970円
世界の諸宗教の教義と歴史を解説する入門書。啓示に生きる一神教、ダルマに生きるインド発祥の宗教、道に生きる中国や日本発祥の宗教と大きく切り分け、共通点と相違点を整理する。



激変する日本人の死生観 人は死んだらどこへ行けばいいのか 第2巻 佐藤弘夫著 興山舎 2310円
本誌好評連載が単行本になりました。日本思想史研究の第一人者が全国霊場21カ所を踏査した生と死の圧倒的ドキュメント。死後を共有できなくなった現代人に説くべき「浄土」の謎を満載した住職必読書。



死の神話学 木村武史編著 晶文社 3080円
世界各地の神話で死の起源や生まれ変わりを語る物語を14人の研究者が論じる。取り上げるのはエジプト、ギリシア、チベット、インド等の伝承。



精神の考古学 中沢新一著 新潮社 2970円
ネパールでチベット密教を学び『チベットのモーツァルト』を著した人類学者が40余年を経てゾクチェンと呼ばれる精神の修行の様子を語り直す。



日本の「来訪神」図鑑 フランそあ根子著 青春出版社 1848円
ナマハゲのように時を定めて訪れ、幸せをもたらして人々にもてなされる個性的な神々約百例をイラスト付きで紹介。宗教人類学者の中牧弘允の監修。



ルポ宗教と子ども 毎日新聞取材班編 明石書店 2200円
首相銃撃事件以後の宗教による家族の断絶に着目した新聞連載や検証記事を再構成。宗教二世の苦難を記者らが聞き取り、児童虐待への対応も取材。



日本書道史新論 魚住和晃著 筑摩書房 1210円
日本で独自に展開した書道の歴史を最新研究に基づいた視点で語る。法華義疏や聾瞽指帰の書体、良寛や西行の真筆など仏教関連作品に言及。新書判。



新版 ここからはじめる書道入門 田中鳴舟著 ナツメ社 1650円
楷書を中心に書道の基礎を学ぶ教本兼手本集。書き順をおろそかにしない、字の形を図形でとらえるなど8原則を掲げた分析的・理論的な指導が特徴。



「戯画図巻」の世界 齋藤真麻理編 KADOKAWA 3300円
江戸時代前期に狩野派の絵師が機知を発揮して描いた絵巻「戯画図巻」を掲載し研究者10人が絵解きする。銃を構える観音菩薩など意味深長な場面も。





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