[『月刊住職』 2024年7月号より転載]

大乗仏教と小乗蔑視 大竹晋著 国書刊行会 3300円
インドの大乗仏教は部派仏教の声聞を劣ったものと蔑視しても批判はしなかったが、日本仏教では蔑視も批判もした。その事情を聖典を読み検証する。



仏教心理学入門 千石真理編著 晃洋書房 2970円
東洋と西洋そして古代と現代を繋ぐ仏教心理学という新しい学問の概論書。日本仏教心理学会会員の僧侶や医師がカウンセリングや精神分析などを解説。



平安時代の宗教儀礼と天皇 斎木涼子著 塙書房 12100円
平安時代に朝廷で行われた護国法会や太元帥法、後七日御修法などの成立と展開をたどり、天皇や院に関わる宗教儀礼と政治との関連などを検討する。



臨済録のことば 小川隆著 講談社 1331円
禅宗の伝統的な解釈で読まれてきた難解な禅語録を成立した唐代や宋代の通念で読み直し、対話を鮮やかに蘇らせる。看話禅や活句といった術語の確認も。2008年刊行書の改題文庫化。



道鏡 悪僧と呼ばれた男の真実 寺西貞弘著 筑摩書房 968円
奈良時代の道鏡は称徳女帝に取り入り宇佐八幡託宣事件で皇位を狙ったとされるが、実は政治への関与はなく仏教指導をしただけだったと歴史学者が論述。高僧の汚名返上を果たす新書。



常に信の一念にかえる 織田隆深著 密門会出版部 2970円
高野山真言宗住職が傘寿を迎え50年間の自身の信心を振り返る。30代に執筆した「真言について」をはじめ、月例法話や寺報の巻頭言などを集成。



図説ここが知りたかった! 法然と極楽浄土 林田康順監修 青春出版社 1925円
浄土宗の開祖法然の生涯と専修念仏の教え、浄土思想と極楽往生への道を、イラストと図版で解説。2011年刊行の新書に加筆し大きな判型で再刊。



高楠順次郎 世界に挑んだ仏教学者 碧海寿広著 吉川弘文館 1980円
近代の仏教学者・高楠順次郎の評伝。西洋留学やアジア各地での学術調査など国際的に活躍、大正新脩大蔵経の出版事業に加え、仏教精神に基づく学校創立など教育者としての功績も顕彰。



僧侶が起つ 荒牧邦三著 熊本日日新聞社 1210円
昭和初期に熊本県八代の干拓地で勃発した小作争議を主導した真宗大谷派の田辺義道住職を中心に、農民闘争の展開を元新聞記者が活写する。新書判。



苦しくて切ないすべての人たちへ 南直哉著 新潮社 902円
曹洞宗住職で恐山菩提寺院代も務める著者が日々の体験や修行時代の逸話を綴ったウェブ連載エッセイをまとめた新書。笑い話を交えながらも僧侶として生と死の問題に本音で切り込む。



近現代日本における日蓮信仰 三輪是法著 法藏館 8250円
日蓮の思想はどのように受容されてきたのか。田中智学・高山樗牛・石原莞爾ら近現代の日蓮仏教信仰者10人の言説を丹念に追ってその影響を読み解く。立正大学教授の博士論文の書籍化。



鎌倉仏教のミカタ 本郷和人・島田裕巳著 祥伝社 1034円
「定説と常識を覆す」を副題に日本中世史学者と宗教学者が鎌倉仏教をめぐって対談。祖師方のエピソード、葬式や踊念仏の起源などを議論。新書判。



巡礼の科学 南地伸昭著 弘文堂 3300円
巡礼とツーリズムが融合した新たな観光形態を考察。四国八十八ヶ所などを事例として、現代の巡礼者たちが経験する多彩な価値を科学的に分析する。



神話を読んでわかること 丸山顕誠著 原書房 3080円
世界各地の神話を比較し、天地創造・人間の生死・終末の物語など似た部分から何が読み取れるか分析。輪廻転生では倶舎論から三界五趣四生を引く。



地域歴史文化のまもりかた 天野真志他編 文学通信 1980円
被災した古文書や掛け軸、写真、美術工芸品をどう救済するか。文化財取扱者向け対策集で、寺社など所蔵者が応急処置するにも役立つ。英語版付載。



若冲画賛 門脇むつみ・芳澤勝弘編 朝日新聞出版 4500円
江戸時代の画家伊藤若冲の作品に親交のあった禅僧が書き入れた賛の詩文を読み解き、絵の魅力を再検討する。大型B5判にカラー図版53点掲載。



仏教がわかる Newsがわかる特別編 毎日新聞出版 990円
小学生から読めるムック版ルビ付きニュース学習誌の仏教編。釈尊の生涯や日本仏教の歴史などを図版と共に解説。仏像や寺院はクイズ形式で紹介。



仏像 守り本尊なぞり描き 染川英輔著 リンケージワークス 1430円
写仏の基礎、線の描き方、彩色の仕方を学んだ上で、お手本をなぞるやりかたで仏画を完成させる。A3判白描画9枚とペーパークラフトの付録つき。





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