[『月刊住職』 2024年8月号より転載]

初期仏典の解釈学 清水俊史著 大蔵出版 13200円
仏陀の言葉は時に矛盾した受けとめ方もされてきた。中有や獄卒など具体例を挙げて上座部の註釈家による解釈を整理し、そのメカニズムを解明する。



阿含経典による仏教の根本聖典 増谷文雄著 大法輪閣 3300円
パーリ仏典の重要な部分を現代語訳し、根本説法・対機説法・教誡説法・譬喩説法・最後の説法など内容別に整理する。1938年刊行書の新装版。



隠された聖徳太子 オリオン・クラウタウ著 筑摩書房 1012円
聖徳太子が近現代にキリスト教の影響を受けた超能力者として祭り上げられてきた歴史を批判的に論じる。とくに司馬遼太郎、梅原猛、山岸凉子、五島勉の諸作品の影響を分析。新書判。



読んで観て聴く近代日本の仏教文化 法藏館 2200円
江戸末期以降に様々な媒体を通して庶民に届けられた仏教文化を15人の研究者が読み解く。小説、絵画、落語、講談、御詠歌、オペラ、観光、ラジオ・テレビなど。森覚・大澤絢子編著。



空海と密教 解剖図鑑 武藤郁子著 エクスナレッジ 1980円
弘法大師空海の生涯とその思想をイラストで図解し説明する。空海が説く真言密教を肯定感に溢れる明朗な教えとして日々の生活で実践する提案も。真言宗智山派の宮坂宥洪住職が監修。



歎異抄にであう 阿満利麿著 NHK出版 1870円
親鸞の語録『歎異抄』を、無宗教を標榜する人たちの仏教入門書として解説。NHKこころの時代のテキストを「宗教のきほん」シリーズで単行本化。



無門関に学ぶ 横田南嶺著 致知出版社 2420円
臨済宗円覚寺派管長が禅語録『無門関』を講義。テーマに沿って14則を選び、現代の知識人の言葉などをヒントにして難解な原文を噛み砕いて語る。



無外如大尼 生涯と伝承 中世日本研究所編 思文閣出版 4950円
無学祖元の法を嗣いだ臨済宗の尼僧無外如大に関する日米の研究者の論考を日本語と英語で掲載。ゆかりの資料もカラーで紹介。生誕八百年記念出版。



道元「赴粥飯法」 石井修道監修 KADOKAWA 1166円
文庫判「ビギナーズ日本の思想」シリーズで、道元が食事の意義と作法を説く著作の現代語訳。曹洞宗僧侶の行動規範となる書を若手研究者5人が分担して訳し写真資料と共に解説する。



良寛 その仏道 竹村牧男著 青土社 4840円
子供と毎日戯れていたとされる良寛の本領は深い仏教思想にあるとして、仏教学者が和歌や漢詩など諸作品を読み込み、禅をはじめ法華経の解釈から浄土教や密教の理解までを探求する。



差別する宗教 鈴木文治著 現代書館 2530円
宗教が差別を助長してきた実態を元教員の牧師が告発。仏教の因果応報の理が障害者や同和地区の人を苦しめ、キリスト教会は聾唖者を排除した。教団の戦争責任も振り返り、展望を示す。



「死」を考える 『エース』編集室編 集英社 1980円
死をめぐり学者や実践者28人が専門分野の文章を寄せる。小笠原文雄「在宅看取り」、鵜飼秀徳「日本人の供養心」、山田慎也「葬儀の歴史」他。



中国の信仰世界と道教 二階堂善弘著 吉川弘文館 1870円
儒教・仏教・道教の三教が織り成す中華圏の宗教を紹介する。神、仏、仙人に民間信仰が混交し、時代や地域によって変容してきた諸相に注目する。



東アジア的世界分析の方法 水口幹記編 文学通信 3850円
副題は『〈術数文化〉の可能性』で、術数とは天文・数学・暦・占術などの諸分野を指す。「中国仏教における呪術の立場」ほか27編の論考を掲載。



老作家僧のチェンマイ托鉢百景 笹倉明著 論創社 2420円
タイで出家した直木賞作家が雨安居の百日間に綴った日記。現地独特の文化や出会った人たちの素顔、托鉢でいただいた食物などをありのままに記す。



池田大作と創価学会 小川寛大著 文藝春秋 1045円
昨年11月に死去した創価学会第3代会長が組織をどう拡大してきたか。その足跡を振り返って、カリスマ亡き後の教団の未来を予想する。新書判。



国宝クラス仏をさがせ! 瀬谷貴之著 新潮社 2475円
国宝の仏像は現在140件。これらに匹敵しいずれ国宝になるかもしれない優れた仏像33件を最新学説を踏まえ解説。横顔や後ろ姿の写真も掲載。



みほとけの推しほとけ みほとけ著 笠間書院 1980円
「仏像大好き芸人」として活動する著者がおすすめしたい仏像48体の特徴や逸話を自筆イラストと共に紹介する。日本彫刻史研究者の山本勉監修。





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