[『月刊住職』 2024年10月号より転載]

講義 宗教の「戦争」論 鈴木董編 山川出版社 1980円
世界の諸宗教が掲げる不殺生戒が有事にどう殺人肯定へ変化していくかを各宗教の研究者12人が解説する。仏教の論者は初期仏教が馬場紀寿、大乗仏教が蓑輪顕量、日本仏教が大谷由香。



近代仏教とは何か 碧海寿広著 青土社 3520円
日本仏教研究者が明治以降の人物や事象をテーマとして発表した論考16編を収録。言及される仏教者は清沢満之、亀井勝一郎、鈴木大拙、高楠順次郎、五来重、梅原猛、瀬戸内寂聴ほか。



東大寺諷誦文稿注解 上代文献を読む会編 和泉書院 18700円
法会の際の僧侶の手控えとして推敲の跡が残る、東大寺由来とされる文献を訓読し、現代語訳と語釈を加える。口絵に原本の一部をカラーで掲載する。



ホトケ・ディクショナリー 大正大学出版会 1100円
「安心」「阿弥陀籤」など仏教経典を語源として生まれた語句をエッセイ風に解説。108項目を仏教学部教員らが執筆し仏教の奥深さを紹介。文庫判。



宗教とは何か 別冊NHK100分de名著 NHK出版 1100円
名著を紹介している番組の宗教書特番の書籍化。釈徹宗が『予言がはずれるとき』を、最相葉月が『ニコライの日記』を、片山杜秀が『大義』を、中島岳志が『深い河』をそれぞれ解説。



信じない人のための〈宗教〉講義 中村圭志著 みすず書房 3520円
世界各地の代表的な宗教の特徴を一つずつ確かめた上で、宗教という言葉が表すものが何かを多角的に考える。翻訳家で平易な宗教解説に定評のある著者の、2007年刊行書の新装版。



なぜ人間には宗教が必要なのか ひろさちや著 講談社 1155円
キリスト教とイスラム教はどちらが侵略的か、神と仏はどう違うか、など誰も教えてくれない宗教の基礎をやさしく解説。2002年刊行書の電子版。



スッと頭に入る空海の教え 吉田正裕監修 昭文社 1650円
真言宗開祖空海の生涯をたどり、現代にも通じるその処世術と交渉術を学ぶ。密教の教えや弘法大師信仰も解説する。御室派大本山大聖院座主が監修。



今知りたいお墓のこと 浄土真宗本願寺派総合研究所著 本願寺出版社 1100円
副題は「亡き人と生きるために考える」。お墓と納骨の歴史をたどり、現代におけるお墓の課題や悩みに答える。



老いに歎異抄 向谷匡史著 青志社 1650円
年をとることで生じる孤独や執着、近づく死や新たな人間関係などを解決する糸口を、親鸞の語録『歎異抄』に求める。作家で本願寺派僧侶の著者が自身の経験も踏まえ思考の転換を説く。



いつか死ぬ、それまで生きる わたしのお経 伊藤比呂美著 朝日新聞出版 858円
近親者を亡くした詩人が仏典や聖句を意訳し、身辺エッセイと共に収録。文庫化して付属CDを無くし本文増補。



愚道一休 木下昌輝著 集英社 2200円
禅僧一休宗純の求道と破戒の日々を描く歴史小説。その生涯と時代背景は史実に基づくが、口外厳禁とされる公案のくだりは作者の想像力で展開する。



人生が一変する「遊ぶっきょう」の教え 町田宗鳳著 サンマーク出版 1760円
遊びが歴史上果たしてきた役割を検証し、「遊び力」を人生に活かす方法を説く。著者は僧籍を持つ宗教学者。



宗教を学べば経営がわかる 池上彰・入山章栄著 文藝春秋 990円
平易な解説で人気のジャーナリストと経営学者の対談集。ビジネスの行動論理を宗教に学び、有名企業と宗教組織との類似性などを考察する。新書判。



利他・ケア・傷の倫理学 近内悠太著 晶文社 1980円
ケアの本質とは何かを現代の小説、漫画、歌謡曲も引用して探究。直接仏教への言及はないが、利他とは自分が変わることという指摘は多分に仏教的。



「外部」と見た創価学会の現場 聖教新聞社編 潮出版社 1430円
創価学会の機関紙に連載した組織の現状を追うルポを、同会の書籍を扱う出版社が単行本化。一章ごとに社会学者で非学会員の開沼博が解説を加える。



描く瞑想 飯野博昭著 明日香出版社 1430円
チベット仏画の下絵をなぞり、色を塗るなどの作業を通じて無心の境地を味わう。描き終えた後もネット上のリンクから下絵をダウンロードできる。



江戸大仏 三船温尚・杉本和江編 八木書店 24200円
江戸時代に日本各地で造立された大型鋳造青銅仏48体を現地調査し、三次元計測などのデータから当時の鋳造技術と民衆信仰の実態を解明する。





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