[『月刊住職』 2024年11月号より転載]
日本の山の精神史 鈴木正崇著 青土社 4400円
日本人の山岳信仰を山の精神史として捉え直し、開山伝承や縁起に焦点を当てて考察。出羽三山、鳥海山、早池峯山、戸隠山、日光山などの歴史をひもとき日本人の信仰を描き出す論考。
古代山寺の考古学 上野川勝著 岩田書院 7590円
古代の山寺遺跡の「多段性平場構造山寺」と「一面性平場構造山寺」を分析し、著者が作成した山寺遺跡断面図などを用いてその空間構造を論じる。
平和構築の原動力としての宗教 アジア宗教平和学会編 社会評論社 2200円
「宗教における何が平和をつくるのか」という課題に多面的角度から応えた研究報告。日韓共同出版企画で著者は北島義信・尾畑文正・梁権錫ほか全8名。
空の構造「中論」の論理 立川武蔵著 講談社 1056円
龍樹の主著『中論』を、「聖なるもの」と「俗なるもの」の二方向から考察。約450の偈であらゆるものの存在を否定し尽くす難解な書を、悟りに至る宗教書として読み解く。文庫判。
日本を変えたすごい僧侶図鑑 蓑輪顕量編著 産業編集センター 1980円
伝統仏教の祖師から近現代の研究者まで、日本の名僧50人の生涯と教えの特徴、学ぶべきポイント、文献案内、こぼれ話等を紹介する。執筆は東京大学仏教青年会の研究者ら17人が分担。
住職はシングルファザー 池口龍法著 新潮社 1056円
お寺を開き仏教改革を叫んできた浄土宗住職が、家庭生活では訳あって離婚し、幼い一男一女を自坊で育てていくことに。料理やしつけに奮闘してきた7年間を隠しだてなく綴る。新書判。
絶望のトリセツ 根本一徹著 法藏館 1540円
のべ2万人もの自殺志願者の相談に全力で応じてきた臨済宗妙心寺派住職がこれまで接した7人の実例を紹介し、いかに人生の危機をのりきるかを説く。仏教倫理研究者の川本佳苗との共著。
改訂新版鐵舟居士の真面目 平井正修・圓山牧田編 佼成出版社 1980円
剣・禅・書の達人だった山岡鐵舟の生涯と言動、幕末から開国に至る時代の行動を家族や門人に取材。1962年刊行書に漢詩の新訳や解説を追加。
生きるのが楽になるスヌーピー 枡野俊明監修 光文社 1540円
人気漫画「ピーナッツ」に禅を見いだすシリーズ第3弾。スヌーピーら登場人物が自然と調和するシーンに禅語を当てはめて解説。曹洞宗住職が監修。
だれをも仏や神にする死生観 佐藤弘夫著 興山舎 2310円
本誌好評連載が単行本になりました。シリーズ「人は死んだらどこへ行けばいいのか」完結の第3巻。日本思想史研究の第一人者が霊場を踏査した圧倒的ドキュメント。死者や草木、人の命を奪う疫病神までも供養する歴史を実地に解明。
日蓮の思想『御義口伝』を読む 植木雅俊著 筑摩書房 2420円
日蓮の講義を弟子が筆記した『御義口伝』にみえる日?の法華経解釈、さらにその底流にある人間主義的な思想を、テーマ別に再構成して解説する。
令和版対訳仏陀の福音 東條嘉顕著 PHPエディターズ・グループ 3850円
哲学者ポール・ケーラスの著作で鈴木大拙が明治時代に日本語訳した仏教概論書を、やさしい現代語に訳し直す。
なぜ、坐禅で「うつ」を克服できたのか? 高田明和著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1430円
83歳の脳科学医は坐禅の習慣を続けて、薬を服用せず自身の「うつ」を治した。2018年刊行書の電子版。
どうして死んじゃうんだろう? 細川貂々著 晶文社 1760円
前半は『涅槃経』に描かれる釈尊の死を漫画化。後半は仏弟子「あなん」が著者の分身と共に死をどう受けとめるかを古今の賢者らに尋ねる旅に出る。
上総の観音さま 仲田紘基文・浜田清絵 銀の鈴社 1540円
地域で伝承されてきた民話を切り絵で描いた絵本。あどけない子の姿の観音さまに秘められた悲しい出来事とは。
近世古文書用語辞典 佐藤孝之・天野清文編 吉川弘文館 4950円
江戸時代の数千点の古文書から1万1500の用語・用字を選び、五十音順に解説、文例とその現代語訳を付す。度量衡や貨幣などの参考資料も掲載。
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