[『月刊住職』 2024年12月号より転載]
「信教の自由」の思想史 小川原正道著 筑摩書房 1925円
明治期に規定された信教の自由をめぐる宗教者や知識人の議論を解説。宗教法人法成立を経て旧統一教会問題に至るまでの法制度上の論争を考察する。
マンダラの新しい見方 森雅秀著 法藏館 3960円
日本仏教では様々な絵図をマンダラと呼ぶ。本家インドにはない独自の展開を一つずつ論述。浄土教や修験道にもあり、高僧や法華経のマンダラも見た上で、浄土真宗の名号にも言及する。
平戸の島々はなぜ宗教が多彩なのか 今里悟之著 古今書院 3850円
キリシタンの島として知られる長崎県平戸島には仏教や神道など在来信仰も根付く。その多様性を民族地理学者が考察。日本の地域誌シリーズの一冊。
死とは何か 中村圭志著 中央公論新社 1100円
伝統宗教では人の死は物理的な消失ではないとして天国や浄土の世界を説いてきた。神話の時代からキリスト教、イスラム教、仏教、儒教、神道などの来世観を宗教学者が歴史を追って解説。
地獄の解剖図鑑 大角修著 エクスナレッジ 1980円
『往生要集』に記された八大地獄、死出の旅路と六道を絵解きで紹介。極楽浄土と念仏の教えや妖怪・幽霊・怨霊も解説する。イラストほしのちなみ。
女を脱ぐ 人生に効く仏教と物語 三野恵著 言視舎 2640円
平安時代から現代までの仏道に帰依した女性12人の生涯を紹介。大石順教や瀬戸内寂聴ら実在の人物に源氏物語のヒロイン浮舟なども加え、彼女たちが苦悩からどう立ち直ったかを学ぶ。
仏教の未来年表 鵜飼秀徳著 PHP研究所 1210円
浄土宗住職のジャーナリストが取材をもとに日本仏教界の未来を大胆予想。2035年直葬が過半数に、2050年東西本願寺合併か、2060年寺院数4万2千に激減など31項目。
〈ゴータマ〉の大予言 ひろさちや著 佼成出版社 1980円
時空を超え現代にやって来たゴータマがこれからの日本を予言し仏教的生き方を提言。仏教評論家の仕事場から発見された絶筆の未発表原稿の書籍化。
當麻寺中之坊称讃浄土経を読み解く 松村實昭著 西日本出版社 2970円
中将姫の写経と伝わる『称讃浄土仏摂受経』を所蔵する高野山真言宗當麻寺中之坊の貫主が同経の全文を解説、読み下し文と一部分の写経見本も掲載。
禅門の異流 盤珪・正三・良寛・一休 秋月龍珉著 講談社 1496円
不生禅の盤珪、在家禅の正三、大愚禅の良寛、風狂禅の一休。個性的な禅僧4人を考察。1962年刊行書に仏教学者竹村牧男の解説を加えて文庫化。
宗教と政治の戦後史 櫻井義秀著 朝日新聞出版 990円
政教分離が原則の日本でなぜ宗教団体が政権に影響力を持つのか。統一教会・日本会議・創価学会の活動に日蓮宗僧侶の宗教社会学者がメスを入れる。
創価学会 レヴィ・マクローリン著 講談社 2585円
参与観察の手法で20年以上も日本各地の学会員らと交流しながら調査し、創価学会が近代国民国家の模倣であると論じる。山形浩生訳、中野毅監修。
霊界 五十年の記録 長田幹彦著 河出書房新社 792円
死者の霊にまつわる体験談や見聞した話を集成。小説家や作詞家として活躍の傍ら超心理現象研究会を主宰した著者の1959年刊行書を文庫で復刊。
運慶と鎌倉 吉川弘文館 2420円
仏師運慶の東国での活動を武士の信心と女性の祈りを軸に捉え直す。神奈川県立金沢文庫・横須賀美術館・鎌倉国宝館での連携展示の作品解説図録。
ユネスコ遺産ガイドインド編総合版 古田陽久著 シンクタンクせとうち総合研究機構 3500円
インドの世界遺産42件、世界無形文化遺産15件、世界の記憶11件の概要やユネスコの登録基準を説明。
コード・ブッダ 機械仏教史縁起 円城塔著 文藝春秋 2200円
人工知能がブッダを名乗って対話を始める長編小説。コンピュータの発展に仏教の歴史を重ね、芥川賞作家がIT用語と仏教語を駆使して描く近未来。
仏教わが家の宗派の教えと仏事 宝島社 1210円
イラスト図解で日本仏教の基礎知識を教えるムック本。とくに浄土真宗・曹洞宗・真言宗について宗祖の生涯と思想、お勤めの作法としきたりを紹介。
真宗聖典 第二版(大判) 東本願寺出版 4950円
宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年の慶讃記念事業として初版の本文を近年の研究成果を踏まえつつ確認のうえ改訂。小判は4400円。
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