[『月刊住職』 2025年3月号より転載]
荷澤神會研究 伊吹敦著 法藏館 13200円
六祖慧能の法嗣で初期禅宗史の転換点となった荷沢神会の生涯や著作と思想に関する研究書。北宗を批判したとされる神会だが、著者はさらに巨視的視座からその史的意義を明らかにする。
奈良時代の大造営と遷都 小笠原好彦著 吉川弘文館 2640円
平城京の最新の発掘成果から、聖武天皇による遷都や大仏造立、都の寺々の造営を紹介。当時の役人の実像や古代社会の実態についても解き明かす。
改訂新版異神Ⅰ・Ⅱ 山本ひろ子著 戎光祥出版 各3850円
中世日本に暗躍した出自不明の神仏の謎を解き明かす2巻本。1998年刊行書を改訂し索引も加えた決定版。Ⅰで主に新羅明神と摩多羅神を、Ⅱでは宇賀弁才天と牛頭天王を収録する。
恋する仏教 石井公成著 集英社 1100円
仏教はアジア諸国で恋愛文学や言葉遊びを育てたという観点から、インド・中国・韓国・日本・ベトナムの諸作品を読み解く。日本は『万葉集』『源氏物語』『たけくらべ』他。新書判。
改訂新版 密教の話 曼荼羅の世界 金岡秀友著 佼成出版社 1980円
密教の思想と発展の歴史を研究者で真言宗住職が概説。インドで誕生して日本へ、さらに現代における密教の意義を考える。1981年刊行書の復刊。
仏教ゆかりの生きもの図鑑 東本願寺出版 1210円
牛や象など仏典の中で特に象徴的に扱われる15種の生きものを詳細なイラストと共に解説する。東本願寺の境内各所で見られる生きものも紹介。福田琢が文を、大島加奈子が絵を担当。
良寛和尚歌集 良寛著 相馬御風編注 岩波書店 694円
良寛が詠んだ800首余の和歌から約180首を選び、歌人で良寛研究者の相馬御風が鑑賞文を添える。巻末に鈴木健一と復本一郎の解説、良寛と御風の略年譜、初句索引も掲載。文庫判。
人は死と生きていく 石毛泰道著 幻冬舎 1430円
曹洞宗住職が家族の死を乗り越えたどり着いた最良の生き方を語る。「今日が最後と思って生きていく」「どこで、どのように最期を迎えるか」など、生と死をめぐる26の法話集といえる。
生命のトリセツ 内田日泰著 産経新聞出版 1320円
副題は「自殺をしても楽にはならないナルホドな理由」。生きづらさを感じている人に向けて『法華経』を元に生と死のカラクリを語り、生きる選択の助言。
死の瞬間 春日武彦著 朝日新聞出版 990円
人はなぜ死に好奇心を抱くのか。古今の映画・小説・随筆などから人が死ぬ瞬間を描くシーンを紹介する。医学博士の著者による死の考察。新書判。
ルポ アフリカに進出する日本の新宗教 上野庸平著 筑摩書房 990円
アフリカ各国で幸福の科学・真如苑・統一教会・創価学会などの信者にインタビュー。2016年刊行書に新章と解説を加えて文庫化した増補新版。
物語をつくる神話解剖図鑑 平藤喜久子著 エクスナレッジ 1980円
世界の神話をテーマ・モチーフ・アイテムで分類し似た物語の類型を比較。死後の世界のモチーフは裁判所型・女神統治型・楽園型といった具合に分析。
もういちど読む山川倫理PLUS 日本の思想編 小寺聡著 山川出版社 2200円
高校の倫理教科書に載る思想家20人に現代を生きるヒントを探る。仏者は聖徳太子、法然、親鸞、道元、日蓮。
奈良の仏像115 田中ひろみ著 西日本出版社 1650円
奈良県と京都府南部の仏像150体をエリア別にカラーイラストで紹介。イラストレーターの著者が画像を描いて見所を解説。地図と寺院案内も併載。
七福神めぐりのすごいひみつ 桜井識子著 PHP研究所 1815円
神仏研究家が京都・新宿・青梅・浅草・川口・岐阜・神戸・淡路島の七福神めぐりを訪れ、その恩恵や仕組み、注意点を綴る。川越と日光の訪問記も。
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