[『月刊住職』 2025年4月号より転載]
仏教由来の日常語事典 大正大学綜合佛教研究所ほか編 丸善出版 4840円
挨拶、諦める、工夫など日常的に使われる235の仏教用語を仏教学者らが解説。現代語としての意味と、仏教語としての語源、用例を挙げる。
仏教名言辞典 金岡秀友著 講談社 1694円
人生に指針を与える仏教者の言葉約230を抜き出し、「人生」や「修行」などテーマ別に並べて解説を加える。出典はインドの高僧や日本の宗祖ら41名の論書や語録など。文庫判。
ヒマラヤ旅日記 田村善次郎編著 八坂書房 5940円
1968年に西部ネパール民族文化調査隊がヒマラヤ山中のチベット人の村に長期滞在し生活を調査。民俗学や仏教美術などの記録を精神科医小田晋や宮司神崎宣武ら7人が分担して執筆。
吉永進一セレクション1 霊的近代の興隆 国書刊行会 3960円
2022年に急逝した近代仏教学研究者の論考をテーマ別に集成するシリーズで、栗田英彦編の第1巻は「霊術・民間精神療法」を扱う。第2部第5章に「原坦山の心理学的禅」を収録。
異界と転生論の宗教史 下田淳著 昭和堂 2750円
人類は死後の世界をどう捉えてきたのか、古今東西の神話や宗教文献などからあの世と生まれ変わりに関する記述を引用し、その想像力を考察する。著者はドイツ宗教史が専門の研究者。
仏教を「経営」する 藏本龍介著 NHK出版 1760円
文化人類学者がミャンマーで出家し調査した経験を元に日本で檀家制度に頼らない新寺院を設立。実験寺院と称する取り組みと現地の事例を報告する。
教行信証の哲学 武内義範著 法藏館 1210円
浄土真宗の宗祖親鸞の主著『教行信証』をヘーゲルやハイデッガーらの西洋哲学に照らして読み解く。宗教学者で真宗高田派住職の1941年の論考を文庫化。解説は石田慶和と岩田文昭。
捨てる生き方 小野龍光・香山リカ著 集英社 1100円
IT起業家から突如インドの佐々井秀嶺のもとで出家した小野と、大学教授を辞し僻地医療に転じた香山が、執着や利他をめぐって対話する。新書判。
住職たちの経営戦略 田中洋平著 吉川弘文館 1870円
寺檀制度のある江戸時代にも存続に苦闘する寺院は多かった。史料から当時の寺院の経営実態を読み解く。小誌連載ほかの論考に依拠する書き下ろし。
「死後生」を生きる 柳田邦男著 文藝春秋 1760円
生と死の問題をテーマとしてきたノンフィクション作家の取り組みの集大成。遺された者が亡き人とどう生きていくか、当事者たちの生の証言を収録。
自分のあたりまえを切り崩す 文化人類学入門 箕曲在弘著 大和書房 1980円
人間の文化の多様性や共通性を探求する文化人類学の基礎を解説。「宗教と宗教心」「呪術と科学」ほか全7話。
しめかざり探訪記 森須磨子著 工作舎 3300円
年神を迎えるために飾るしめかざりは地域によって異なる。日本各地を訪ね取材したしめかざりの形状とその作り手、飾る人を写真とともに紹介する。
仲野教授のこの座右の銘が効きまっせ! 仲野徹著 ミシマ社 1760円
有名人の名言や身近な知人の教えなどを生命科学研究者が紹介。前半は座右の銘と称賛、後半は何やねんと名言にツッコミを入れるエッセイ全30編。
図説ここが知りたかった! 伊勢参りと熊野詣で 青春出版社 2024円
古代から信仰の篤い伊勢神宮と熊野三山を解説。とくに中世の貴族による熊野詣でと江戸時代の庶民の伊勢参りを詳述する。神社宮司の茂木貞純監修。
世界の墓地 アラステア・ホーン著 日経ナショナルジオグラフィック 2970円
王や大統領、兵士から忠犬まで世界173カ所の墓地を写真で紹介。日本は谷中霊園、高野山奥之院、泉岳寺。
冠婚葬祭文化論 佐久間庸和著 産経新聞出版 1430円
冠婚葬祭会社社長で作家一条真也としても活動する著者が「人間にとって儀式とは何か」を語る。葬儀の根底にある仏教・神道・儒教についても解説。
思い通りに描く仏画 安達原玄・安達原千雪著 誠文堂新光社 3300円
道具選びから線を引く方法、修正テクニックまで仏画の描き方を写真で解説。トレースできる下絵14点を収録。
だいぶつさまかぜをひく 苅田澄子文 アリス館 1650円
がんばりすぎて倒れてしまった大仏さまを薬師先生が往診し、周りの仏さまも手厚く看病。浄土宗住職の中川学が絵を担当するシリーズ3冊目の絵本。
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