[『月刊住職』 2025年7月号より転載]

渡海僧がみた宋代中国 参天台五臺山記を読む 森公章著 八木書店 4950円
平安中期の天台宗僧侶成尋が中国に渡って470日間連続して記した旅日記を現代語訳し解説。図版を交えて当時の風俗や習慣、食生活などを紹介。



霊性の日本思想 末木文美士著 岩波書店 3300円
仏教・儒教・神道などが入り混じる日本の思想を、宗教より広く「霊性」を軸に捉え直す。枠組みとして王権と神仏の拮抗という構造に注目し、古代から近代までの変遷と解体を論じる。



近代日本の仏教思想と〈信仰〉 呉佩遥著 法藏館 3300円
明治時代以降の日本で信仰がいかに語られてきたかを論じる。島地黙雷、境野黄洋、広井辰太郎、姉崎正治らの宗教論を検討する。中国生まれの著者の日本語による学位請求論文の書籍化。



お布施のからくり 「お気持ち」とはいくらなのか 清水俊史著 幻冬舎 1034円
お布施の仕組みを初期仏典に遡って検証。日本仏教の宗祖の教えも重ね合わせ、現代日本で誰にお布施をすれば果報が得られるかを考える。新書判。



釈尊と「解脱」の思想 大小路悠行著 花伝社 2200円
釈尊の本来の教説に最も近いとされるパーリ五部と四阿含に注目する。明治時代以降の仏教学者の説を見直し同経典から解脱と輪廻の思想を読み解く。著者の名は国立大学名誉教授の雅号。



お寺でつながる多文化共生 清藤隆春著 明石書店 3080円
技能実習制度で来日したベトナム人らを調査し対人関係や信仰を分析。日本語教室の活動や寺院による外国人仏教徒の信仰継続の実態を明らかにする。



近江の古代寺院と造営氏族 小笠原好彦著 サンライズ出版 2970円
古代の近江に構築された60余の寺院と、その造営を担った有力氏族を解説。廃寺の遺構から発掘された瓦の文様や制作技法から伽藍の歴史をたどる。



1日1テーマ 30日でわかる仏教 井上純道監修 文響社 1595円
仏教について知りたいが専門書は難解すぎるという人に向けて、歴史や宗派、葬儀など教養としての仏教の知識を30項目で紹介。天台宗住職が監修。



みんなの密教 白川密成著 NHK出版 825円
高野山真言宗住職による密教の入門書。何が秘密なのかの説明に始まり密教の基礎知識、空海の教えを平易に説く。「学びのきほん」シリーズの1冊。



誰もが行きたくなるお寺33実践集 いまからの寺院コンセプト 遠藤卓也著 興山舎 2530円
本誌好評連載が単行本になりました。住職をはじめ僧侶の実践や寺院の役割をアップデートする全国各宗派33カ寺の取り組みを紹介。自分のお寺がやりたいことが分かり、檀信徒や地域の人がお寺に何を求めているか明確になります。



運を味方にする人の生き方 栗山英樹・横田南嶺著 致知出版社 1650円
プロ野球の元監督と臨済宗円覚寺派管長の対談。理不尽を乗り越えて、夢を正夢にする生き方などを語り合う。



仏と冠婚葬祭 玄侑宗久・一条真也著 現代書林 1320円
共に作家としても活動する臨済宗妙心寺派住職と葬祭会社社長の対談。日本人の死生観や仏教が果たしてきた役割、命の問題から葬儀の現状へと展開。



仏教コード お経から読み解く未来予言 三木大雲著 学研出版 1595円
怪談説法で知られる日?宗住職が、仏典に記された未来の予言を読み解いて、破滅を回避する方法や、徳を積むための「気」の使い方などを伝授する。



宗教は地理から学べ 宮路秀作著 SBクリエイティブ 1870円
宗教が信仰される地域の地形や気候、自然など、地理的条件からどう影響を受けたかをひもとく。キリスト教、イスラーム、仏教、ヒンドゥー教ほか。



世界文化遺産でたどる日本の歴史 熊倉浩靖著 雄山閣 2420円
国内に21ある世界文化遺産を古い順につないで日本史を概説。特徴の一つに奈良・京都や紀伊山地、日光、富士山など非排他的な宗教性を挙げる。



四国歩き遍路マニュアル 中野周平著 西日本出版社 1430円
四国遍路を歩いて2周半してきたライターが行程をルート順に紹介。寺院の解説、観光案内、守るマナー、宿の手配、野宿の方法など実用情報を掲載。



グリーフカフェ 大切な人を亡くした人たちが語ったこと 佐藤奈央著 論創社 1980円
悲嘆を抱えた人が集まる都内の場で実際に交わされた会話を収録。テレビ番組制作のための取材を元に再構成。





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