[『月刊住職』 2025年10月号より転載]
全訳 カマラシーラ修習次第 一郷正道ほか訳 起心書房 8580円
8世紀のインド僧侶カマラシーラが止と観の瞑想次第を初・中・後篇で説く著作の日本語訳。瑜伽行派と中観派を統合した思想を背景にインド後期仏教史における当書の役割を確認する。
東南アジアの仏足石 鈴木峻著 めこん 4400円
アジア各地で海外勤務し研究者に転じた著者がタイ・マレーシア・ラオス・ミャンマーの仏足石を観察して、252例をカラー写真で紹介。ブッダの足型を崇拝する信仰の変遷を追う。
禅者としての鈴木大拙 塚崎直樹著 法藏館 2860円
鈴木大拙と接点のあった西田幾多郎、昭和天皇、鶴見俊輔、柳宗悦、秋月龍珉、曽我量深、岡村美穂子の7人とのやりとりを整理して、大拙の学者の面よりも宗教家としての姿を捉え直す。
日本史を宗教で読みなおす 大西信行他編 山川出版社 2200円
宗教が歴史教育の現場でどう扱われているか、現状を研究者13人が報告する。神仏習合を吉田一彦、鎌倉新仏教を平雅行、国家神道を平山昇が担当。
火葬と土葬 日本人の死生観 岩田重則著 青土社 3080円
民俗学者が日本各地の墓地を訪れ、死と死者をめぐる観念とその歴史を見つめ直す。近世初めからの土葬への回帰と、浄土真宗門徒の火葬の継続、分骨や死者供養習俗などの事例を考察。
賽の河原 供養の宗教学 村上晶著 筑摩書房 1012円
津軽地方のイタコの調査に基づいて日本の供養を考える。死者の口寄せや花嫁人形供養といった実例を紹介した上で、現代の仏壇や手元供養などから生者と死者の関係を論じる。新書判。
お経の意味がやさしくわかる本 鈴木永城著 河出書房新社 1793円
般若心経、阿弥陀経、観音経、正信偈、修証義などよく耳にする仏典の原文と現代語訳を掲載し、曹洞宗住職が解説。2020年の新書の単行本化。
図解 般若心経がよくわかる本 玄侑宗久監修 リベラル社 1650円
『般若心経』の概要や広めてきた高僧を紹介し、経文を一句ずつ図とイラストで解説。その教えの受けとめ方を伝えて、読経や写経の実践方法を示す。
空海 安藤礼二著 講談社 4950円
これまで折口信夫、鈴木大拙、井筒俊彦の評論を著してきた文芸評論家による空海の評伝。前半で空海の思想をときほぐし後半は生涯の軌跡をたどる。
道元 実践の哲学 末木文美士著 KADOKAWA 2200円
道元の著作を先入観なしに読んでその思想の根幹を考える。『正法眼蔵』「身心学道」の巻を一節ずつ読み進めて解説した未来哲学研究所オンラインセミナーの講義に加筆して単行本化。
やさしい人になれる本 枡野俊明著 幻冬舎 1760円
やさしさとは何かを曹洞宗住職が小学生に伝える。「ムカムカしたら深呼吸」など禅の考え方に基づく39のヒントをユーモラスな絵と共に紹介。
ぜんぶ絵でわかる 世界の宗教事典 正木晃著 エクスナレッジ 2420円
キリスト教、仏教、イスラム教、東アジアの宗教、世界の様々な宗教を図版と共に解説する。仏教は伝来ルート地図や有名な仏像をイラストで掲載。
新興宗教ぶっちゃけ話 多田文明著 清談社 1760円
統一教会の信者だった経験のあるルポライターが、その勧誘の手口から出家・合同結婚式・献金を包み隠さず語る。宗教二世と教団の今後も考える。
占いと中世人 菅原正子著 吉川弘文館 2420円
中世の政治・学問・合戦の場で行われた陰陽道の占いや易占いなどを紹介。占いの方法・意味内容・思想を探求し、占いと人間社会との関わりを考える。
増補新版 阿修羅像のひみつ 興福寺監修 朝日新聞出版 2090円
阿修羅など奈良興福寺の諸像を15年にわたりX線CTスキャナで非破壊内部調査してきた結果を専門研究者らが報告。完成前の顔など新発見もある。
私が死んだあとも愛する犬を守る本 富田園子著 日東書院 1650円
万一の時に愛犬を託せる相手はいるか、蓄えは、しつけは……。ペットの命を守る具体的な手続きや書類作成を解説する。行政書士の磨田薫が監修。
もっと知りたい中国の書 田中亮著 東京美術 2420円
甲骨文に始まる3500年間の中国の書から代表作約150点をカラーで掲載し、「書体の興亡史」と「書風の展開史」の2つの観点から解説する。
全国平和スポットへのいざない 佐藤功ほか著 かもがわ出版 1540円
戦争遺跡など平和を考える全国22カ所を高校教諭ら8人が訪問ルポ。記念碑や資料館のほか北前船海難の奉納品が拝観できる深浦円覚寺も紹介。
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